君は今、幸せな気持ちで眠っているだろうか?
楽しげな夢の中で駆け回っているだろうか?
私にくれたやさしさの数々を今でも鮮明に思い出せる。
夢のような心地の世界を教えてくれたのは他でもない君なのだから、
君も素晴らしい情景を分かち合える誰かと出会えていることだろう。
こちらもこれから、新しい景色を夢見て誰かを探しに行くよ。
淡い期待を抱きながら、それが叶わないとわかっている時の気分は、さながら晴れとも雨ともつかない物憂げな空模様である。
逸る心を抑え付け、そのようなことが起きるはずがないと自らを宥める。つい後ろを振り返って、いつも目で追っている姿を探したくなるけれど、都合のいい展開を待ちわびる自分が恥ずかしく思えて俯いたまま足を早めた。
命の大きさは、ひとつの視点から複数の命を見比べたとき、
その仕組みの規模の大きさの順に決定される。
あなたに届けたかった。あなたのことが大好きな私の気持ちを。
もはや届けることも、届けたかったはずの気持ちも燃え尽きてしまって叶わない。けれども、きっとこれでよかった。私の無益な好意に失望するあなたを見られなくて本当によかった。
あなたは今とても幸せで、新しいものと人に出会って輝かしい毎日をおくっていることだろう。そこに私が存在しないことは正解だ。それが嬉しい。それだけで過去に泣いた私は報われている。
私には推しがいる。
他人と繋がることが難しい私にとって、推しの存在はインターネットにおけるペルソナを形作る重要なパーツだ。毎日推しへの愛を語り続けて数年が経ち、インターネット上の私は推し狂人としてのアイデンティティを確立している。
最早、それ以外で自分を形成する手段がない。「推し活」を除いた私自身の要素で勝負する自信はとうに失われてしまった。コンテンツにはいずれ終わりが訪れる。過ぎ去ったその後にはきっとがらんどうな自分しか残されていないけれども、つらい毎日を耐え抜く術は他に見つからないのだから仕方がない。いずれ向き合わなくてはならない空っぽな心から目を背けて今日も愛を叫ぶ。