突然降りかかる驚きも、ふっと漏れ出る優しい気持ちも、誰かへの返事も表せる、魔法の言葉を教えてあげる。
「嗚呼」
先生がいつもよりかしこまった雰囲気で言った。
「今日から、みんなと一緒に過ごす留学生を紹介する。Come here, Ms.Marry.」
カラカラッと軽やかにドアが開く。
目に飛び込んできたのは、ポニーテールの女の子。先生が言う。
「みんなに自己紹介できる?」
その子は先生を見上げた後、戸惑いを隠せない様子で私たちを見渡した。
その美しい目は、中に空が入っているのではないかと思うほど、透き通った色をしている。
「はじめまして。メアリー、です。今日から、よろしくお願いします」
自信なさげでありつつも、一つ一つ丁寧に自己紹介をしていく様子を見ていた私は、胸が熱くなった。
一通り紹介が済んだ後、その子の質問コーナーに移った。
しかし誰も手を挙げる者はいない。先生が困っていると、前の席の男子が手を勢いよく手を挙げた。
「アイ、ハブ、ア、クエスチョン!」
この狭い教室に、弾けるような笑いが広がった。
お題「question」
視界の片隅で、ひらりとカーテンがなびく。
春の澄んだ風は、この狭っ苦しい教室に希望をもたらしてくれる。だから俺は、春が好き。
みんなの胸には綺麗な花が飾られている。
手が汚れていくのと同時に、緑色の黒板が春の息吹を表すように色鮮やかになっていく。
俺は肺に詰まった重い空気を吐き出した。そして、桜色の風を肺がいっぱいになるまで吸った。
「卒業、おめでとうございます。先生はずっとみんなの幸せを祈っています」
生まれ変わった黒板を見て、生徒たちは若い歓声を上げた。
お題「ひらり」
風さんは子どもなんだろうなって思ってた。
私の小さいころと同じいたずらするから。
いろんな意味でね、広くて澄んだこの大空に行きたいなってたまに思う。
声に出したら大ごとになるから言わないだけで。
楽しい時も、どん底に落ちた時も、そう思っている自分がいたりする。
ちっちゃいころの自分も、ちょっとだけ大きくなった自分も同じことを考えているなんて笑っちゃうよね。
今の私の空は真っ暗。雨が降っている時もある。
いつになったら晴れるのかな。
……晴れる日が来るまで生きていられたらいいね。
by かんらんしゃ?
お題「大空」