風さんは子どもなんだろうなって思ってた。
私の小さいころと同じいたずらするから。
いろんな意味でね、広くて澄んだこの大空に行きたいなってたまに思う。
声に出したら大ごとになるから言わないだけで。
楽しい時も、どん底に落ちた時も、そう思っている自分がいたりする。
ちっちゃいころの自分も、ちょっとだけ大きくなった自分も同じことを考えているなんて笑っちゃうよね。
今の私の空は真っ暗。雨が降っている時もある。
いつになったら晴れるのかな。
……晴れる日が来るまで生きていられたらいいね。
by かんらんしゃ?
お題「大空」
僕の家は、いつもベルの音が響いていた。
僕の部屋は、しばしば荒れていた。
僕のパソコンは、稀に君が書いた文字で溢れていた。
僕の懐は、君の頬と同じぐらい温かくて、太陽の匂いで満たされているよ。
もう一度だけ、ぎゅってして、肉球の匂い、嗅いでみたいな。
君はもう、広い空、そう、あの太陽のそばに行っちゃったけどね。
僕は寂しくなったデスクの上で昼寝してから、窓の外を眺め始めた。すると、窓の縁から、光る二つの目がひょこりと現れた。
僕の家は、いつもベルの音が響いている。
お題「ベルの音」
私はこの子に、大きな愛を注いだ。それは、自分が貰ってきた愛よりもずっとずっと多かった。
・門限は5時まで、スマホは危ないから禁止。
・名門校に入れるために4歳から受験勉強。
・お菓子もジュースも飲んじゃダメ。
そうして育ったこの子は、どこか遠くに行ってしまった。生きてるかもしれないし、もうこの世にはいないかもしれない。
こんなに縛り付けてごめんね。お母さん、やっと気づいたの。
全てに勝る愛は、母親の笑顔だったんだって。
お題「愛を注いで」
「いいか、俺と三年一組はみんな 同じ仲間だ! どんなことがあっても、喧嘩なんてくだらないものはせずに、仲良く過ごせ! いいな!」
わたしはまだ小3だけど、何度この言葉を聞いたかわからない。少なくともわたしが出会ってきた大人は、みんな子どもたちを一括りにしようとする。
(仲間ってのは、同じ目標へ向かう人たちが集まってできるものじゃないのかな?)
(みんな違って、みんないいんじゃないの?)
ふとそんなことを考えていると、担任の池田先生と目があった。先生はわたしの心を見透かしたように、ギロリと目の色を変えた。
出た杭は打たれるんだよね。良くも悪くも。大人の世界はそうやって出来てる。そういうものなんだよ。
仲間分けって仲間割れの始まりだからね。
お題「仲間」