かんらんしゃ

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先生がいつもよりかしこまった雰囲気で言った。
「今日から、みんなと一緒に過ごす留学生を紹介する。Come here, Ms.Marry.」
カラカラッと軽やかにドアが開く。
目に飛び込んできたのは、ポニーテールの女の子。先生が言う。
「みんなに自己紹介できる?」
その子は先生を見上げた後、戸惑いを隠せない様子で私たちを見渡した。
その美しい目は、中に空が入っているのではないかと思うほど、透き通った色をしている。
「はじめまして。メアリー、です。今日から、よろしくお願いします」
自信なさげでありつつも、一つ一つ丁寧に自己紹介をしていく様子を見ていた私は、胸が熱くなった。
一通り紹介が済んだ後、その子の質問コーナーに移った。
しかし誰も手を挙げる者はいない。先生が困っていると、前の席の男子が手を勢いよく手を挙げた。
「アイ、ハブ、ア、クエスチョン!」
この狭い教室に、弾けるような笑いが広がった。


 お題「question」

3/6/2025, 7:52:00 AM