かんらんしゃ

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視界の片隅で、ひらりとカーテンがなびく。
春の澄んだ風は、この狭っ苦しい教室に希望をもたらしてくれる。だから俺は、春が好き。
みんなの胸には綺麗な花が飾られている。
手が汚れていくのと同時に、緑色の黒板が春の息吹を表すように色鮮やかになっていく。
俺は肺に詰まった重い空気を吐き出した。そして、桜色の風を肺がいっぱいになるまで吸った。
「卒業、おめでとうございます。先生はずっとみんなの幸せを祈っています」
生まれ変わった黒板を見て、生徒たちは若い歓声を上げた。


 お題「ひらり」

3/4/2025, 3:17:59 AM