昔、幼稚園からずっと仲良くて親友だと言える友達がいた。
いじめにあって、不登校になっても、それを知らなかったからかもしれないけど、不登校から復帰した後も何事もなく友達でいてくれた。
でもいつだったかな、全然話さなくなって、登校中もほとんど無言のまま、別の友達との待ち合わせまで歩いた。
そこで僕らの関係は崩れていった。
僕の性格が昔とは変わっていったからなのだろうけど。
ずっと友達だと言っていたのに、ごめんなさい。
でも君と友達でいれて楽しかったよ。ありがとう
もう忘れる。君とは、初めから合わなかったということだから。
今はもう僕のことも忘れてるのかもしれないけれど。
[ありがとうを伝えたかった人へ]
“私は楽園に生まれた精霊です。”
目の前にふわふわと浮かぶ小さな少女はそう言って深々とお辞儀をした。
ボクは何が何だか分からず、まだ寝ぼけているのかと目を擦ったが、やはり目の前には浮いている少女、精霊が笑ってこちらを見ていた。
“今日から私は貴方の精霊です。-さま。”
聞き取れない言葉に、思わず首を傾げる。ボクの名前を呼んだのだろうか。だとしたら間違っている。
本当に何者なのかと眉をひそめて彼女を見ると、あぁ、と納得したように目を瞑った
“私たちの世界とは名前が違うのでした。_シンさま。よろしければ、私の名前をつけていただけないですか。”
待って、状況がよく分からない。
そう言おうとしたけれど、なぜだか声は出なかった。
なぜか、彼女を知っているような気がして、ボクの口は勝手に動いていた。
“_サキエル...はい。私はサキエルです。”
“これから楽園へ行きましょう。シンさま”
その瞬間、彼女は世界で1番幸せそうな笑顔でそう言って手を掴むと、白い空間へと向かって飛び込んだ。
[楽園]
一瞬、また光が光った
真っ暗闇の中、何も見えない空間にたった一瞬だけ光が灯る時がある。
ロウソク、デンキ、カミナリ...タイヨウ。
我はそれらを知らない。
言葉だけは我の頭の奥から聞こえてくる。
いまだ見た事はないが、光の種類だということは知っている。
我は何者か。
暗闇に1人、実態も持たずに“生きて”いる。
また一瞬暗闇が光った。
今度は先程よりも少し長い時間。
変わることのない暗い景色に、その光が灯る刹那を我は“タノシイ”と感じる。
我はカンジョウというものが分からない。
けれどタノシイ。
我は何者か?
なんとなくその光が教えてくれるような気がして、たったの数秒しか光らないその空に手を伸ばした。
[刹那]
誰しもがきっと自分は生きている意味があるのかと抜け出せない問いに陥ったことがあるだろう。
けれどきっと生きる意味なんて大したことない。
ただ自分のやりたいことを実現して、大切な人と、色々な経験を積んで1度しか味わえない人生を楽しむ。
自分は生きる意味なんてないというけれど、生きることはそうしているだけで意味になる。
「家族がいるから」「死ぬと友達が悲しむから」「まだ生きていたいから」
「作品を残したい。」「もっと色んなことを知りたい」「好きなことを続けていたい」
そんな理由で生きていればいいと思う。
生きる意味は皆ちゃんと持っていて、軽いものだから。
[生きる意味]
善だと思っていても誰かにとっては悪かもしれない。
悪だと思っていても、誰かにとっては善かもしれない。
それは人の価値観によって異なると思う。
良かれと思ってやったことが相手にとっては余計なお世話だったり、返って間違った道に進んでしまうこともあったり。
自分には自分の「善」があり、相手には相手の「善」がある。
皆の中にその意味が同じく存在している訳ではない。
善と悪は隣り合わせ。
振り返ったら悪だし、振り返ったら善になる。
善も悪も、同じ存在なのかもしれない。
[善悪]