今日もなんとか家に帰ってきた。
ただいま、口に出したその瞬間、聞こえる足音。
つめが当たる音、ともいえる。かわいくてたまらない。幸せの音だ。
しっぽぶんぶんしながら一直線に向かってくるかわいいきみ。
やっと帰ってきた!おかえり!待ってたよ!
アフレコしつつ、目の前の…満面の笑みのもふもふを見つめた。
「足音」
暑い、でも爽やかで、
目に映るもの全てが瑞々しかった夏は、何処へ行ってしまったの。
そっか。
もう過去なのね。
ねえ知ってる?
あなたは、あなたといるときだけは、わたし「
」 ううん。なんでもないわ。
夏は延長させるものって相場が決まっているでしょう?
エンドレスエイトしかり、8月32日しかり。
取り残されないようにね わたしみたいに
「終わらない夏」
あのシーンが良かったと談笑する貴方の話が、いやに気になって聞き耳を立てるなんて、私らしくもなかった。
一方の貴方はきっと最初から見抜いていて、褒められない行為をする私に、一番穏便に済ませられる対処をしただけ。
じゃなきゃ、それほど仲がいいわけでもない私に、あんな、眩しいほどの笑顔、もとい光線を浴びせるなんてのはしない。
ついに来てしまった。
見るからに私好みの映画の予告を一瞥し、真っ先に券売機へ向かう。
一生縁はないと思っていたのに。そのきっかけも。
これから私は、漫画の実写映画を見る。
「小さな勇気」
野良猫って本当にいるんだな。
そう思いながら、走り去った黒猫を見やった。
やっぱ夜の散歩は心地いい。特に今日は気分がいい。
何せお手本のような三日月の夜、黒猫に出会ったのだ。
これほど…『月に吠える』ような夜もないだろう。
後必要なのは おわ「わぁ、こんばんは!」…え
思わず振り向くと人が二人いて、たまたま知り合いと出会ったらしかった。
心臓がうるさい。
君の声で、僕に呼びかけられた気がしたのだ。
「わぁ!」_「猫」 萩原朔太郎『月に吠える』
“芸術に終わりはないんです。
仮に作者から独立しても、必ず誰かの琴線に触れて生き続ける。そこに良し悪しは関係なく”
そんな物語を書けるようになりたい。
熱弁をふるう僕に、笑顔で一言、
「そういうことなら大丈夫だよ
君の物語は終わらせられないから 私が」
即答できるわけがなかったけど自惚れたい、良いよね?
「終わらない物語」