朝起きて
いつも通りに支度して
朝ごはん食べて
支度終わったらちょっとのんびりして
適当な時間に家を出て
自転車を走らせて学校へ向かう
登校中
1週間に1回ぐらい前を走っている君を見つけて
「おはよう」って声をかける
そしたら、君はこっちを向いて
イヤホンを外して少しぶっきらぼうに
「おはよ」って返す
目的地は一緒だから、2人で自転車を走らせる
君から話すことはほとんどなくて
ほとんど僕から話しはじめる
「今日の授業何?」とか「今日、何時間授業?」とか
そんな何気ない会話
学校に着いたら自転車を置く
それぞれがそれぞれのいつものところに置く
そして、エントランスをくぐって階段を上がる
君の教室の前で「じゃあね」ってハイタッチして別れて授業が始まる
一日中、僕と君は特別話すわけではない
同じ授業でも廊下で会っても目を合わせないし、
わざわざ話しかけに行ったりもしない
たまたま帰りのタイミングで、駐輪場にいる君の姿を見つけて
「今から帰り?一緒に帰ろう?」って声をかける
君は朝と同じようにぶっきらぼうに「いいよ」って返す
2人で自転車を走らせる
朝とは違って、君は放課後の方が話す
何でかは分からないけど、笑顔で色んな話をする
僕の家の前まで来ると5分ぐらい話して
「じゃあね」って言ってハイタッチする
傍から見れば凸凹で不思議な2人
でも
学校にいるどんな友達よりも一番の友情だなって思う
これが僕と君の友情
お題:『友情』
―花咲いて、地固まる―
彼女は花壇を眺めながら呟いた
「それって、【花咲いて】じゃなくって【雨降って】じゃなかったっけ?」
疑問に思った僕は彼女に問いかけた
「うん、そう。でも、それって“問題が起こって”解決した時、元の状態よりも良くなってるってことじゃん?」
「そうだね」
「でもさ、問題とかトラブルってない方が良くない?」
「まぁ、確かに、それはその通り」
「じゃあ、雨が降るんじゃなくて花が咲いてより良くなる方がいいじゃん!」
名案でしょ?
彼女は誇らしげにこちらを見つめてくる
そして、急に立ち上がり
「だから、もっとお花いっぱいの花壇にしなきゃね!」
と、じょうろを持って井戸へかけて行った
「相変わらず君たちは、面白いことを思いつくなぁ」
元気いっぱいに水をあげる彼女の姿を昔のキミと重ねながら
キミが好きだったキキョウの花をキミの写真の横に静かに手向けた
お題:『花咲いて』
昔から器用な方だった
大体のことは上の下か中
完璧なわけじゃないけどできない訳でもない
友達も沢山いて、異性の友達も多くて
誰にでも優しくて、困ってる人は見過ごせない
顔もそんなに悪くなくて
周りから可愛いって言われて生きてきた
人と争うことは嫌いで
みんなと笑顔に過ごせればそれでいい
そんな人
本当は、
本当は、、、
常に人と比べてて
みんなにどう見られてるか気にしてて
困っている人を助けるのも
結局は全部自分がよく見られたいから
友達よりできるって言う優越感に浸ってて
そんな自分に劣等感を抱いて
そんな人
お題:『優越感 劣等感』
「君はなぜ、我が天文部に入部したのかね?」
座っている私の正面に仁王立ちする小さい先輩の顔を、私は少しだけ見上げた
「そうですね、強いて言うならなんとなく“かっこいいと思ったから”ですかね」
嘘をつく必要なんてないので、正直に答える
「そうか、そうか、かっこいいか...」
先輩はにやけながら少し誇らしそうに腰に手を当てた
「そうであろう、そうであろう、やっぱり星はかっこいいよなぁ」
先輩は腕を組んで、ふんふんと鼻を鳴らしながら部室の端にある大きな望遠鏡を撫でた
「先輩は...先輩はなんで、天文部に入ったんですか?」
私はふと疑問に思いそう尋ねた
先輩は自分も聞かれると思ってなかったのか一瞬困ったような顔をして
「そう...だな、少しだけ昔話をしてもいいかい?」
といつもより少し真面目な顔で聞いてきた
「もちろん構いませんよ星空が見えるまでは暇ですから」
私がそう言うと望遠鏡を撫でていた先輩が、私の正面の席に座り語り出した
「私の家族は私が小さい時に交通事故で死んだんだ
本当に幼い頃だったから、私は両親の記憶がほとんどない
私を育ててきたのは祖母と祖父だ
だけど私は自分だけを残して死んだ両親を恨んだことはない
事故の後見つかった時にな、母親と父親は私に覆いかぶさるように死んでいたらしい
まるで2人で私を守っているかのように
これは私の勝手な憶測だが、私の両親はきっと最後まで私を守ろうとしてくれていたのだと思う
自分の命と引き換えにしてでも私の命を守ってくれた、
そんな2人がいたから、今の私がある
...人は死んだら空に還るとよく言うだろ?
科学的には絶対にありえない、人間の願望でしかない
けれど、もし...もし本当に両親が空に還っているとしたら
空からこちらの姿を見ているとしたら
“私も両親の姿が見たい、私も彼らの笑っている姿が見たい”
そう思ってな
だから私はこの部に入ったんだ。
まぁ、今やその理由も関係ないくらい星のことが大好きになったんだがな
自分の話をつらつらと長く語ってしまってすまない、そろそろ外が暗くなってきた星空の観測を始めようか。」
先輩はそう言って望遠鏡を取りにいった
「そうですね始めましょうか」
私はずっと座っていた席から立ち上がり、背伸びをして小さな体で大きな望遠鏡を持つ先輩の後ろについていく
先輩の後ろ姿はなんだかいつもよりおっきく、かっこよく見えた
やっぱりこんなかっこいい部活に入れてよかった、そう思いながら
私は今日も先輩と星空を見る
お題:『星空』
「もしも未来が見れるなら何見たい?」
自分の隣で寝そべる幼馴染が、そう僕に問いかけた
「急に何?どうしたの?」
急な質問を不思議に思い、問いかけると
「いや、ほら、今日の国語であったじゃん」
と返される
「んー、そうだったっけ?」
自分は記憶の引き出しから今日の国語の授業の記憶を引き出そうとした
そんなお話やったような...やってないような...
「ん、だめだ、今日の授業ほとんど寝てたから覚えてないわ」
正直に思っていることをそのまま口に出すと
「そうだろうな」
なんて、当たり前のことを話すように目を見て言ってきた
自分はなんかその顔にムカついてほっぺを思いっきり抓ってやった
「ひぁいひぁい(いたいいたい)」
「あはは、バカみたいな顔」
「おまえがやったんだろ!仕返しだぁー!おりゃぁ!!」
「うぉっ」
高校生だと言うのに放課後にこんなに馬鹿みたいなことができるって幸せだな
なんて呑気に思いながら初めにされた質問を思い出す
もしも未来が見れるなら、か
就いてる職業とか、家族のこととか、好きな人とのこととか
気になることは色々あって、簡単には決められないけど、
「お前との未来は、とりあえず見ないでおこ...」
「え?なんで?」
「だって後先知らない方が、楽しそうだろ?」
「まぁ、確かにそうかもな」
お互いに顔を見合わせて
また、馬鹿みたいに笑った
...このバカみたいな幸せが永遠に続きますように
お題:『もしも未来を見れるなら』