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4/12/2023, 1:13:44 PM

【 拝啓 , 親愛なる君へ 】

やぁ、ワトスン。前までの暖かい季節が嘘のように去っていってしまったね。今はもう肌寒いほどだ。
コートを買ったんだ。茶色の暖かそうなコートをね。
君が居なくなってから、君が好きそうなものばかり選んでしまっているよ。食べ物も、雑誌も、服装も。
君が隣にいないとやっぱり変な気分だ。
椅子が一つ空いてるだけなのにな。全くおかしなことだ。

ワトスン、もし君がこの手紙を読んでいるのなら、笑ってくれるかい?
君がいなくなったのは、もう随分と前なのに、未だに寂しくなってしまうんだ。


返事は書かなくてもいいぜ、ワトスン。
君が読んでくれたらいいんだ。

僕が、そっちに行った時はまた、


一緒に冒険をしてくれるかい?ワトスン__いや、







4/11/2023, 10:11:51 AM

【 身を蝕む純愛 】

「ふ、っ……ぐ……ッ」
まだ夜は明けていない薄暗い部屋の中、自分の声だけが聞こえる。苦しみ、痛みをこらえる声。
禁術を犯す度、痛みが増してゆく。手が震え、死んだ神経に激痛が走る。痛みで気を失いそうになる。が、それも痛みで目が覚める。

何故、ここまでするのか。そう問い出す人もいるだろう。

ソーサラースプリームだから、世界を救う為だと勝手に思い込む輩もいるだろう。

否、私はただ彼女が幸せでいられるために……

彼女を守れたら、まだ人間の私で守れたら…

私が死んでも悲しまないように、嫌われた。


傲慢な皮を被り、彼女を突き放した。






ぐちゃぐちゃな、

けれど、

優しい


醜く歪んだ純愛だと、

4/10/2023, 12:04:43 PM

【 幸せな日 】

暖かい。前迄は冷たい風が頬を刺したのに、今では暖かく優しい風が頬を撫でてくる。目に髪がかかるのを手ではねながら、暖かいNYの街を歩く。
今日は異次元からの敵は今のところ感知していないし、気配は感じられない。ストールの形をしているクロークが、ちょいちょいと私の顔をつつく。つつかれた場所を触ってみると、風に吹かれてきた花弁が顔についていた。
可愛らしい、青色の花。

まるでどこかの異次元を移動できる少女によく似た花だと思った。

「クローク、今日は本屋にでも行こうか。」

そう話しかけると、クロークは私の頬を撫でる。

一般人からしたら、暖かく天気の春爛漫とした日

私、いや私達にとっては、幸せな日

【春爛漫】

4/9/2023, 11:16:46 AM

【 独 】

愛した彼女は、私の腕の中で消えた。
私のせいで、死んでしまった。
彼女を救いたいという傲慢なエゴのせいで。
そのエゴが、彼女を殺してしまった。
私は、ただ、彼女を救いたいだけだったのに
いつからか、歯車が狂ってしまった。
私が狂わせてしまった

彼女を、私はただ、愛していた
愛していたかった。そのエゴのせいでこの世界は滅んだ

何度嘆いた
何度救おうとした
何度縋りついた
何度私を罰してくれと頼んだ


何度も、何度も、何度も、何度も


誰よりも、ずっと、愛していた彼女を、彼女が愛していた世界を、救ってくれと頼んだ

4/8/2023, 10:17:16 AM

【 相棒 】

「待ってくれよホームズ!」
「ハハハ!こんな面白い事件、待ってなんて居られないよワトソン!!!」

ぜぇぜぇ。と息を切らしながらホームズの後ろ姿を追いかける。全く、君より私の方が歳老いているのをわかって欲しいものだ。いや、それは一生無理だろう。
ホームズの興味を引く事件だ。さぞかし“楽しい”ものなのだろう。少し立ち止まり息を整える。

「ワトソン、最近3ポンド太ったね?運動が足りていないんじゃないか?」
彼が大きな声で、それもロンドンの街中で言う。私は、恥ずかしい気持ちで、ホームズの方へ走ってゆく。心做しか、ホームズの目がキラキラと子供のように輝いて見えた。

「さぁ!僕のいない間の3ポンド分、僕と一緒に埋めていこうか」
「……ハハ!勿論だよホームズ!」




ロンドンの街には、探偵と退役軍医の声が響いていた。

【これからも、ずっと】

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