お題『手ぶくろ』
父方の祖母に家に引っ越しして間もない頃、赤い紐付きのミトン型の手ぶくろをつけて、雪が積もったある日、まだ名前も知らない近所の子供達と公園で大きな雪だるまを作った。
雪だるまの上部(顔の部分)には落ちている葉っぱや小石、細い木の枝をつけた。下部(胴体部分)の左右に中ぐらいの木の枝を上からさした。中心部分には上部と同じく葉っぱや小石で飾っていく。完成間近の雪だるまを見て子供達は悩んでいた。
『雪だるまに手ぶくろをつけてあげたい』
だけど自分達が着けている手ぶくろを雪だるまにつけるはなんだか気が進まないようだ。すると一人の少女が––––。
少女「この手ぶくろをつけてあげるよ」
少女は自分のつけていた赤い紐付きのミトン型の手ぶくろを外しそっと雪だるまにつけてあげた。
すると近所の子供達は口々に「かんせいだ〜〜!!」っと喜んでいた。
もちろん手ぶくろを雪だるまにつけた少女も喜んでいる。
公園の中に設置してある太陽電池電波時計(時計塔)から夕方を知らせるメロディーが流れると少女を除いた近所の子供達は各家へと帰って行く。
しばらくしてメロディーが鳴り終えると一人の老婆が公園にやって来た。
老婆「可崘(かろん)ちゃん、ご飯だよ」
名前を呼ばれた少女はその老婆の元へ駆け寄り手を繋いで家に帰る。帰り道老婆は孫に問うた。
老婆「手ぶくろどうしたの?」
可崘「雪だるまにあげたの」
老婆「そうかい。可崘ちゃんは優しいねぇ」
後日その老婆は可崘に新しい毛糸で作った白い雪だるまの絵が入ったミトン型の手ぶくろをプレゼントしたのでした。
End
お題『変わらないものはない』
変わらないものはない。と言う意味の言葉があるらしい。それが【諸行無常】だ。
意味は、世のすべてのものは、移り変わり、また生まれては消滅する運命を繰り返し、永遠に変わらないものはないと言うこと。人生は、はかなく虚(むな)しいものであるということ。(四字熟語辞書引用)
萌香「……だって」
萌香は分厚い四字熟語辞書をめくりながら言った。それに対し全く興味のない真珠星(すぴか)が携帯の画面を見ながら適当に相槌を打つ。委員長が温かい紅茶を一口飲み答える。
委員長「人生って意外にあっけないものかもしれないわね……。ところで輪通(わづつ)さんその分厚い辞書どうしたの?」
萌香「地元の図書館で借りたの。ここまで持ってくるのちょ〜〜う大変だったよぉ。すんごい重いし……」
真珠星「それで、大きいリュックで来たわけか」
萌香「うん。……ってか夏休みの宿題に『四字熟語を使って何か文を作りなさい』って問題あるじゃん。あたし何も思い浮かばなくて困ってるの」
真珠星が身も蓋もないことを言い出した。
真珠星「ってかさ、携帯で調べりゃ良かったじゃん。私、そうしたよ」
萌香は手に持っていた辞書を床にバサっと落とした。
真昼間にゲリラ豪雨が降り続く中、カフェの店内で雨が止むのを待っていた萌香達。
真珠星の一言で萌香の心の中でもゲリラ豪雨が降り出したのだった。
End
お題『クリスマスの過ごし方』
真珠星(すぴか)が小学4年の時にとても仲が良かった友達の春美〔ハル〕から自宅で開催するクリスマスパーティーに招待されて行った日。NZL(ニュージーランド)から来日してパーティーに参加している中の一人、ハルの友達である、ヒメコがNZLのクリスマスの過ごし方を真珠星に教えてくれた。
ヒメコ「NZ Lは日本と違って【夏】だからクリスマスの日は家族や友人達で浜辺でBBQをしたり、ハイキングやキャンプしたりするのよ」
ヒメコの日本語は流暢だった。日本生まれの彼女は小学2年生の夏休みの時父親の仕事の都合でNZLに引っ越ししたという。真珠星は自分と少し重なる部分があって親近感が湧いた。
真珠星「日本の夏休みみたい」
ヒメコ「そうだね。あ、あとね。面白いのがサンタクロースがサーフィンしてやってくるの!」
真珠星「何それ〜!?ソリじゃないんだ〜(笑)」
他にも色々と教えてくれた。日本と変わらない部分もあるらしい。それはクリスマスプレゼントにケーキがあることだった。
End
お題『イブの夜』
雪が降り始めた寒い日の夜。街の中はクリスマス雰囲気でいっぱいだ。近隣の家々の外壁にはイルミネーションが飾られ、星や動物の形をしたモノから多種多様で赤や緑、白色に光る小さな電球が点灯している。
綺麗な外を眺めながら、祖母から頼まれたお遣いの帰り道【みゃぁ、みゃぁ】と必死に鳴く猫の声がした。
私(わたくし)は鳴き声のする方へ歩いて行くと、近所の公園に辿り着いた。ベンチの下でぶるぶると震える茶トラの子猫を見つけて、しゃがみ込んで覗いてみるとその子猫は私に向かって【みゃぁ】と鳴いた。
委員長「寒いよね。こっちにおいで」
と猫に話しかけるとよちよちとベンチの下からこちらに向かって歩いて来た。そっと抱きあげると暴れたりすることもなく私の腕にもたれた。私は首に巻いていた毛糸のマフラーを子猫の体を包むように巻き家まで持ち帰った。
そして子猫は家で飼うことになり、早速名前を付けてあげた。
委員長「クリスマスの夜に拾ったから、あなたの名前は今日から『イブ』よ。よろしくね」
イブと名付けられた子猫はまた【みゃぁ】と鳴く。
イブを飼い始めて5年経った今、暑さ対策で買った猫用う冷感マットに興味を示さないが、何故か人間用の冷感マットは気に入ってるらしく体を丸めて気持ち良さそうに眠っているのだった。
End
お題『プレゼント』
真夏の日差しが一番辛い午後3時、都内の繁華街で真珠星(すぴか)と委員長は冷房の効いたカフェでお茶を飲んでいた。委員長はまだ暖かい紅茶の入ったティーカップに手を添えている。一方真珠星はテーブルの横に置いてあるドリンクメニューを眺めていた。
委員長「私(わたくし)達二人だけで会うの初めてよね?」
真珠星「そうだな。いつも萌香がいるから3人でいるのが当たり前になってたからなんか不思議な感じだな」
委員長「本当にそうね。BBQで同じ班にならなかったら私達友達になっていなかったわ(笑)」
真珠星「それな!(笑)委員長さ、いつも忙しそうだったからさ、ぶっちゃけ休み時間声かけずらかったんだよね」
委員長「そうだったの⁉︎声かけてくれて全然良かったのに💦。……あの当時私……クラスで友達と呼べれる人がいなくて……休み時間一人でいるのが嫌で、時間を潰す為に担任や他の教科の先生達から頼み事を請け負っていたの」
真珠星「なるほどねぇ。そうだったのか」
委員長「えぇ。でも今は輪通(わづつ)さんと穂先(ほさき)、が私の側にいてくれているからそんな事せずに休み時間楽しく過ごせているわ。ありがとう」
真珠星「礼なら、萌香にも言いなよ〜」
委員長「もちろん。伝えるわ」
委員長は手を挙げて店員を呼んだ。そしてホット紅茶のおかわりと真珠星がメニューで指差すアイスカフェオレを店員に注文した。
真珠星「萌香の誕プレ決まった?」
委員長「えぇ。さっき行った雑貨屋で購入したわ。穂先さんまだ買ってないの?」
真珠星「うん、ごめん😓近くに服屋見つけたからそこ行っていい?」
委員長「いいわよ(笑)。でも意外だわ穂先さん、即決するタイプだと思っていたけど慎重派なのね」
真珠星「自分へのプレゼントはすぐに決めれるけど、人に送るとなると……なんか悩むんだよね」
まだまだ外は暑い中二人は注文した飲み物を飲み干して萌香の誕生日プレゼントを探すのだった。
End