お題『プレゼント』
真夏の日差しが一番辛い午後3時、都内の繁華街で真珠星(すぴか)と委員長は冷房の効いたカフェでお茶を飲んでいた。委員長はまだ暖かい紅茶の入ったティーカップに手を添えている。一方真珠星はテーブルの横に置いてあるドリンクメニューを眺めていた。
委員長「私(わたくし)達二人だけで会うの初めてよね?」
真珠星「そうだな。いつも萌香がいるから3人でいるのが当たり前になってたからなんか不思議な感じだな」
委員長「本当にそうね。BBQで同じ班にならなかったら私達友達になっていなかったわ(笑)」
真珠星「それな!(笑)委員長さ、いつも忙しそうだったからさ、ぶっちゃけ休み時間声かけずらかったんだよね」
委員長「そうだったの⁉︎声かけてくれて全然良かったのに💦。……あの当時私……クラスで友達と呼べれる人がいなくて……休み時間一人でいるのが嫌で、時間を潰す為に担任や他の教科の先生達から頼み事を請け負っていたの」
真珠星「なるほどねぇ。そうだったのか」
委員長「えぇ。でも今は輪通(わづつ)さんと穂先(ほさき)、が私の側にいてくれているからそんな事せずに休み時間楽しく過ごせているわ。ありがとう」
真珠星「礼なら、萌香にも言いなよ〜」
委員長「もちろん。伝えるわ」
委員長は手を挙げて店員を呼んだ。そしてホット紅茶のおかわりと真珠星がメニューで指差すアイスカフェオレを店員に注文した。
真珠星「萌香の誕プレ決まった?」
委員長「えぇ。さっき行った雑貨屋で購入したわ。穂先さんまだ買ってないの?」
真珠星「うん、ごめん😓近くに服屋見つけたからそこ行っていい?」
委員長「いいわよ(笑)。でも意外だわ穂先さん、即決するタイプだと思っていたけど慎重派なのね」
真珠星「自分へのプレゼントはすぐに決めれるけど、人に送るとなると……なんか悩むんだよね」
まだまだ外は暑い中二人は注文した飲み物を飲み干して萌香の誕生日プレゼントを探すのだった。
End
お題『ゆずの香り』
今年も柚子を使った食飲料の品々が萌香の家に届けられた。ジャムにジュース、そして萌香お気に入りの柚子の皮が入ったシャーベット。
一口アイススプーンで掬い舌の上乗せるとすぐに溶け、さっぱりした柑橘系の甘味の中に少し皮の苦味がして柚子独特の香りが口いっぱいに広がる。小さなカップに入ったシャーベットはあっという間に食べ終えてしまった。
萌香「はぁ〜。美味しかったぁ!マミィ、今年は新作があるって英里(えり)さん言ってたよね?」
萌香の母親「うん。まだ試作段階らしくて使用したら感想が欲しいそうよ」
母親の友達、英里は柚子は勿論文旦(ぶんたん)や新高梨等果物を栽培してる農家に嫁いだ。都会生まれの彼女は田舎暮らしに憧れていたようで、萌香が幼稚園に入園した頃マッチングアプリで知り合った彼と2年の遠距離恋愛を経て萌香が幼稚園を卒業した年にめでたく結婚(ゴールイン)した。
段ボールの奥から小さい箱が出てきた。開けてみると液体の入った100ml程のボトルが3つ並べられ個々に【シャンプー】、【トリートメント】、【ヘアオイル】と記載されたラベルが貼付されている。
試しにボトルの蓋を開け香りを嗅ぐ。
すっきりとするほんのり甘い柑橘系、その中にもやはり柚子独特の皮の香りが混ざる。夏用に少しだけミントも配合されているようだ。
柚子の香りにはリラックス効果や落ち込んだ気持ちを向上させたり、苛立ちの緩和、気分転換、疲労回復等効果があるらしい。
楽しそうな萌香の表情を見て母親はホッと胸に手を添える。数日前まで萌香は酷く落ち込んでいたからだ。
萌香の母親「早速、柚子の香りの効果かしら(笑)」
と母親は微笑んだ。
End
お題『大空』
生徒Aと生徒Bは河川敷の芝生の上で寝転がり空を見上げていた。
生徒A「何にもやることないな」
生徒B「そうだな。俺も大神みたいにバイトしようかな」
生徒A「いいなそれ!大神に頼んでみようぜ!」
生徒B「いや、無理だろ。大神にそんな権限ねぇし……」
生徒A「マジか!?」
生徒B「バイトだからな」
生徒A「ワンチャン……」
生徒B「ねぇって」
晴れ渡った大空の下二人はこのあと河川敷に居たことに後悔するはめになった。
End
お題『ベルの音』
小学4年生の頃私(わたし)は学校から帰るとすぐにハル、〔越鳥(えっちょう)春美(はるみ)〕の家へ遊びに行っていた。私より後から来た転校生のハルは日本人の父とニュージランドの母の間に生まれたハーフだ。
転校初日、ハルの周りは質問ばかりするクラスメイトに囲まれていた。困り果てていたところを真珠星(すぴか)が助けたのがきっかけで二人は仲良くなった。
ある日いつものようにハルの家で遊んでいるとシャンシャン、リンリンと鈴の音が家中に鳴り響いていた。
真珠星「クリスマスのベルの音みたいで綺麗だね」
ハル「Yes。もうすぐクリスマスで、NZ L(ニュージランド)のフレンドがワタシの家でクリスマスパーティーを開くの。その時にママが歌を披露するみたいなの。夕方になると鈴を鳴らして練習してる」
真珠星「へぇ。ハルは歌わないの?」
ハル「ワタシは歌わないわ。去年とても恥ずかしい思いをしたから」
真珠星「何があったの?教えてくれる?」
ハルは誰にも内緒よと言いながらカタコトの日本語で教えてくれた。
ハルは自分が自覚しているくらい音痴である。パーティー当日とても緊張しまい練習の時より音程がめちゃくちゃになりピアノの伴奏を狂わしてしまい、とても笑い者にされたらしい。それからというのも合唱は全て口パクになったと内緒の話を語った。
End
お題『冬は一緒に』(今回に限り2つのお題を投稿します)
大神から誘われた夏のイルミネーション日の前日の夜。
船星(ふなぼし)「あの子も来るんだ」
とベット中でポツリと呟き、目を閉じてあの子の顔を思い出していた。あの子とは萌香のことである。
しかし船星は一つ疑問に思う、一体どうやって誘ったのだろう。休みの間に会った?それとも誰かに連絡を聞いた?頭の中で自問自答を繰り返していたら目が冴えてしまい眠れなくなった。時間は刻々と進みとうとう当日の朝を迎えてしまった。待ち合わせは夜だ。昼まで寝れば大丈夫と思い、一度ベットから降りようとしたが、体に力が入らない。僕は知恵熱を出してしまったらしい。動かない体に無理やり力を込めて携帯を手にした僕は大神にドタキャン連絡をメールで送った。メールの最後にこんな文章をつけた。
『この夏のイルミネーションが中止になった場合の話だけど冬は一緒に見れるといいな……なーんてね(笑)』
End【冬は一緒に】
お題『寂しい』
数年前から、両親は僕の事など気にせず、外国に行ったまま一度も帰ってこないのである。
生活費等は銀行にお金を入れてくれているので、不便は無い。
だけど、この広い家に一人でいるのは……寂しい。
特に、体調を崩した日なんてもっと寂しさを感じてしまう。
いっそ犬や猫のペットを飼って寂しさを紛らわすことができるんじゃ無いだろうかとふと思った。
End【寂しい】