「おい引きこもり!ちょっと付き合って!」
今日が始まったのはこの親友の一言だった。
「はい?…場所次第だけど」
「買い物」
「却下、外出たくない」
「えーじゃあ勝負しよ勝負、勝ったら言うこと聞くルールで」
「吉幾三」
「やったー!!!」
「う…戦闘狂を思い浮かぶ…」
「いやいやいや似てないって」
「で、どこ行くの?」
「まずはアイテム買うでしょ、各街の限定商品とか期間限定系とか、…」
「夜まで過ごすつもりか」
「そりゃーね。運動不足だろうし、なんかいいもん食べないと」
「えー…大丈夫だって…」
「そっちの地方は強靭な人多いけどさ?カレーばっか食ってたり強いやつらがうようよしてる自然に躊躇なく足踏みいれたり」
「その地方の生まれだしたとえあのピンクのクマに追いかけられようと生き延びれるよ」
「考えてみりゃそれがおかしくないと思うのはその地方だけなんだよなあ…」
「ねえ、もしかしてここ?」
「うん!ついたー!」
久し振りにその街に行くと、思っていたよりずっと、ずっとキラキラしていて、月みたいで、星に似ていた。
なぜそう思うのかは多分、今隣にいる太陽が世界を照らしているからだろう。
「前来た時よりも綺麗だな。」
一つの月、五つの星が、きらっと瞬いた。
_2024.1.28.「街へ」
ピンク色のクマよ、許さない。
だって誰が見ても襲ってこなさそうな、寧ろ逃げ出しそうな可愛いピンク色のクマじゃん。
なんで追っかけてくるの??
pkmn。
「ねえ!あんたも!!がんばんなきゃ!!」
主人公
いつだって助けてくれたのは優しさだった。
いつからだろうな。あたしはあの子のねーちゃんで、あの子を守らなきゃと誓ったのは。ひどい怒りん坊でうるさいねーちゃんだったな。
いつからだろうな。疲れちゃったのかな。誰にも触れさせないようにしてたのに、あの子を守ってくれる存在が出来て、安心して、はじめて「助けて」って言ったっけ。
あの時、有名な本に載っていた「秘宝」の暴走を止めるとき、一旦手持ちに戻そうとした。その時さ、あんたは誰を見てたのかな。
まずあたしを見た。次に主人公を見た。怯えて、震えて、心臓が止まりそうで、うるさくて、「これは全部自分がやってしまったことなんだ」とでも思ってそうな顔だった。
バカ。こうなったのはあんたのせいじゃなくてあの光バカのせいでしょ。
「主人公は優しいから、こんな俺でも許してくれた」とか言ったらぶん殴るわよ。
主人公が優しいのは事実よ。何が聞き逃せないってのは「"こんな"俺でも」。
あんたねえ…この学園の王者になって、他校に友達がいて、結果的に捕まえてないけど、伝説を捕まえて…それで「こんな」?明らかに非凡でしょうがよ。
ふざけたこと言ってると手ぇ出るよ。
最後に。
ねーちゃんがあたしでごめん。
「………この紙も、もう大丈夫。」
ぽたり、と誰かの涙がこぼれた。
_2024.1.27.「優しさ」
涙をこぼしたのは姉か弟か。
pkmn。大穴から帰るとき、やっぱりそんだけ心配してたんだなあ、って…。
暗い。
辺りはもう人の顔も見えないほど暗かった。
闇に染まった空を見上げる。
「…今から晴れてしまうのが嫌だ。」
また頑張れと強制されるような気がして。
心がちりちりと痛む。
また朝が来る、ということは鮮やかな青いあの大きな空をもう一度、見なければならないことを指していた。
あの顔を見なければならないのと一緒だ。
ならばこのまま、認めずに済むように。
「…………。」
ミッドナイトで祈るように目を閉じた。
_2024.1.26.「ミッドナイト」
あの顔を見たくない。
pkmn。知らなくても読めます。
「皆さまに心からの安心を」
知らん政治家がテレビでなんか言ってら。
この番組、ずっとニュースばっかで飽きちゃうぜ。オイラはまだガキだっての。
「あなたの不安を取り除く!それこそがこの、新商品の……」
はあ。
こんな情報番組、オイラが必要だと思うか?
やめだやめだ。
「…最近、ちょっとピリピリしてますよね」
「……案じています。元に戻ってほしい」
「最近、…なんか居辛くてさ」
「"本気になれない奴は俺の部活にいらない"」
あ〜…。誰がそんなこと言ってたっけか?
「私、なんとかしてみるよ。自分が始めてしまったことだし…私の手で終わらせる。」
オイラ、多分学園の生徒で最年長なのによお。こんなちっせえ手のガキが来たことに。
どっかで安心しちまってんだなあ。
ずっとこのままなのか?楽しくない勝負をするのか?勝てない勝負にのぞまなくなるのか?負けると思って戦うのか?
. . . . .
ついてきてくれるあいつらはなんなんだ?
格別に強い信頼を置いたわけじゃあない。
「本当は優しい人なんだね」
別にそんな人格者じゃあない。
「私も彼に対して、そうありたい」
ただオイラは、あいつに気づかせたいだけ。
あんな政治家みたいな嘘つくな。
あんなくさい商売みたいな仮面とれや。
誰を心配させてんだよ。
姉も、あいつらも、部活仲間も、オイラも。
そんなかで一番、心配してんのはあの手のちっせえガキなんだよ。
「見てて苦しいぜ。」
_2024.1.25.「安心と不安」
「…やっぱりピリピリしてるよあの髪型」
「早く戻るといいな」
「あの人があんな髪型してるから今にも噴き出しそうで…」
(((こっちが見てて苦しいんだけどな…)))
シリアスにはシリアルを。これ常識。pkmn.
あっちが太陽なら、俺は月だ。
太陽から直接光が届いて、やっと見える月。
ぎらぎら照らすあれより静かに燦めくそれ。
「俺、主人公がいなかったら、今こうして強くなれなかったかもしれないなぁ」
「…強くなりたいのかぃ?またぁ?」
「あ、いや別に…そういう意味じゃなくて。
楽しい勝負もおれは好きだったけど…強かったら戦略とか広がって、もっと楽しい勝負にできるな、と思って」
「…なぁんだ、そういうことねぃ」
「"強くなければ大事にしてたものも取られる"……あの頃、あの時、あの勝負に負けた俺はそう考えてたよ」
自分を見失った。仲間も友達も愛情も、自分の手で壊した。
「でも…そうやってもぎらぎら無駄にうるさい太陽には届かなかったからやめたんだ」
「その無駄にうるさい太陽のことはどう思ってるんでぃ?」
「今はもう……
友達だよ」
あれに照らされ、あれを照らす存在。
_2024.1.24.「逆光」
元チャンプと元々チャンプの会話。ちょっと和解できてるな…pkmn。