《運命共同体》
仲間、ってなんだろう。
家族でもなくて、友達でもなくて、恋人でもない。
赤の他人ってわけでもない間柄。
特別な関係のひとつだとは思うけど、独特な関係性。
「運命共同体、ってやつかな」
「なにそれ、かっけー笑」
「身内みたいな赤の他人ってそれじゃない?」
「血の繋がりがない家族的な」
「言えてる笑」
そんなことを思える"仲間"に出会える人は、きっと幸せ者だろうな
《狭間の世界》
自分には《推し》がいる。
年に数回。もしくは年に一回。最悪は年に一度も会えない事もある。
だけど、会えた時のあの高揚感。
同じ場所で同じ空気を吸っていることの喜び。
まさに夢のようなひとときを味わえる。
そして終わったあとの現実感も味わう。
扉一つ。チケット一つ。
夢のような現実の世界で会える喜びも、夢から醒めたような現実感も。
全て教えてくれたのは《推し》だったよ。
《この杯を》
「さよならだけが人生、なんて言葉があるけど。またの再会を約束して、今はこの杯を受け取って」
そう言って君がなみなみと注いだグラスを僕に渡す。
僕はそれを受けとり、笑って、乾杯した。
「さよなら、なんて寂しいから言わないよ」
「そうだね。またいつか」
「うん。約束」
いつかまた、ここで君と笑って酒を飲める日が来る日を願って。今は一度、お互い別の道を歩もうか
《このままずっと》
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
「帰りたくないなぁ.....」
そんな呟きも君には聞こえない。
繋ぐ手から伝わる熱が冷めるのが惜しくて。
君の隣を歩く時間が過ぎるのが寂しくて。
「また今度」
その言葉を聞きたくなくて。
終わらせないで欲しいんだよ、この時間を。
《眩しい光に焼かれる》
あの人は笑顔が似合う人だった。
太陽の下で、太陽に負けないくらいの明るい笑顔を見せてくれる人だった。
周りも明るくするような人。
眩しいくらいに明るくて、みんなに好かれてた。
あの人の顔を思い出すと、必ず笑顔が思い浮かぶ。
そんな人の隣に立った時に、自分の暗さがより目立ってしまうことだけが嫌だった思い出がある。
あの人は悪くない。
でも、そんな私の嫌悪感を知らないで隣に立つあの人を
私は心のどこかで嫌っていたのかもしれない。