「はなればなれ」
私のことを大切にしてくれた貴方。
いつも、「好き」って私に言ってくれたあなた。
これからもそんな貴方と一緒に居たい。
でも、願いは叶わなかった。
世界は無情にも壊れ果ててしまった。
私達の街は黒い霧で包まれた。
建物も、人の心も、霧で埋め尽くされてしまった。
いつも、明るくて優しくて真面目な貴方も
黒い霧に蝕まれてしまった。
今の貴方は、貴方のようであって貴方ではない。
心に余裕が無くて、いつもイライラしてる。
私のことも覚えていない。 悲しい
黒い霧が晴れれば、いつもの貴方に戻るのかな?
また、この世界に、私達の街に、
光が照らすことを信じている。
それまで待っていてね。
心の繋がりは離れているかもしれないけど
私達の記憶は離れていないはず。
貴方が私を大切にしてくれたように、
私も貴方を最後まで大切にする。
「スリル」
私はジェットコースターに
彼氏と一緒に乗った。私は絶叫系がとても苦手だ。
なのに、なぜ乗ったのか、
それは彼氏の前で強がったからだ。後悔しかない。
今、私は安全ベルトを付け終わった。
怖い。怖すぎる。子供用でも恐怖なのに。
彼氏は横から「楽しみだね」と話しかけてきた。
うるさい。話しかけるな。そう思いながら彼氏の方に目をやった。
ドンッ!!ガラガラ〜
ついに、、動き出した。
上に上がっていく。頭が重い。
空が見えてきた。私はどうなるんだ。
そして、、、下に、、落ちた。
私は一瞬意識が飛び、走馬灯が蘇ってきた。
しかも、その走馬灯はいい思い出ではなかった。
3代目の彼氏に浮気をされ、(現在は5代目)階段に八つ当たりをしたところ、小指をおもっいきりぶつけたという悲劇だ。なぜ今思い出す。
そして、私は地上に下りてきた。
横に居るであろう彼氏の方向に目を向けた。
彼氏は気絶していた。痩せ我慢だったんだな。
私の今の感情は複雑だ。元彼へのさらなる恨み。
小指の苦痛。その中でも良い感情が一つある。
一番は、スリルを味わったことだ。
浮気の修羅場やバイト先で皿を5枚割ったときですら
スリルを味わなかったのに、
今日初めて味わうことができた。悪くないな。
(走馬灯は嫌だけど)
「飛べない翼」
僕の将来の夢はお医者さんだ。
理由は、僕のお父さんがお医者さんだからだ。
本当は、探検家になりたかった。
でも、僕の将来の夢はお医者さんだ。
僕のしたかった習い事は、野球だ。
野球をするのが好きだし、体育の先生が僕の
野球の上手さに太鼓判を押してくれた。
でも、お母さんとお父さんは反対した。
野球をして手を怪我したらお医者さんに
なれないからだ、、、なら仕方ないよね。
ーーピピピ!ピピピ!ーーー
「ん、、もう朝か」
「仕事に行かなくちゃ」
わたしの職業は医者だ。
理由は親に言われたからだ。
仕事にやりがいも楽しさも無い。
探検家、、、今でも夢だな。
「過ぎた日を想う」
君がいなくなってから何年経っただろう。
優しかった君は、この世の全てを知ったような、絶望した
顔をして、闇の中に消えていった。
なんで、相談してくれなかったの?
私じゃ頼りなかった?
私の心の中では無力感と疑問が未だに残っている。
君は、人間の道を踏み外してしまった。
この世界で、正しく生きることはできないだろう。
それでも、私は君に会いたい。
私は君の味方だ。
面影が残っていなくても、原型をとどめていなくても、
君に会いたい。
今年、、、やっとこの願いを叶えることができた。
君は、突如私の前へ現れ、
私が呼吸をするよりも早く、君は口を開いた。
「私のしたことは間違っていない」
「悪いのは全部、社会と人間だ」
私はその言葉を聞き、決断した。・・・・・・
君を刺した私の手は温かく、赤かった。
私は、君と会ったら、どうするか決めていた。
昔の面影があるのなら、罪を犯してでも私は君をかくまうつもりだった。
もし、ないのなら、君をこの世から解放しようと
思っていた。
私の選択肢は後者だ。
君の瞳には、表情には、言動には、あの時の優しさなんて
これっぽっちも残っていなかった。
それでも、私は君が好きだ、、、。
君が嫌いな世界で苦しむのは耐えられない。
君じゃない君の顔なんて見たくない。
だから、この世から解放してあげた。
君は、私の膝で眠りについた。
眠っている姿は、どこか、人間のようで、君のようだ。
私は君を忘れない。一生、味方だよ。いや、親友だ。
君は悪くない。私は君を罰するつもりも無い。
だって、、悪いのは、罰せられるべきなのは、
この世界だ。
END
フィクションです
「声が聞こえる」
あなたの声が聞こえる。
海辺のほうから、潮風に吹かれながら。
もう、聞けないはずのあなたの声が。
もう一度あなたの声が聞きたい。
優しい声なのに、どこか冷たいあなたの声が。