沫雪

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2/21/2024, 3:25:35 PM

♯0からの

「どしたの?」

教室の目の前で立ち止まっているクラスメイトに

声を掛ける

「入りずらくて…」

「なんかあったの?」

暗い顔をする彼女に思わずそう言う

「昨日彼氏と別れたんだよね。ちょっと気まずくて」

「気にしてもしゃーないじゃん!入ろ」

教室のドアを開く

すると教室の喧騒が止まる。

「おい。急に別れようって言うから何かと思ったら、

そいつとできてたのか?」

睨みつけてくる男に食って掛かろうとする彼女を抑える。

「はあ?教室に入りずらいって彼女困ってたよ?この感じ

だとでけー声で愚痴でも言ってたりした?」

周りの反応を見るに正解だろう。

「へー、そんだけ短慮ならそりゃ振られるわ。他にも

色々やらかしてるんじゃないの?」

顔を赤くする男に周りの視線は冷たい

「もう喧嘩するのも嫌なのよ。これ以上株を下げたくない

なら1からどころか、0からやり直しなさい」

中々厳しい再出発となりそうだ。

2/20/2024, 1:14:24 PM

♯同情

なによ

可哀想って思ってるの?

アタシの事を?

やーねー!

同情なんて要らないのよ

惨めに思えるじゃない

ただ、楽しく一緒に飲んでちょうだい!

楽しく過ごせればそれでいいし、

酔っ払えば忘れられるじゃない?

アタシにはこのお店があるし、

少なくても来てくれる客が居る

それでじゅうぶんシアワセなのよ

ちゃんと自分の器くらいわかってるんだから。

そうよ

その上に普通の暮らしなんか求めるのは贅沢よ

好きな事とやりたい事と、

生活は中々両立難しいものなのよ

そりゃ少しは親孝行もしたいけどさ

親の求める幸せとアタシのシアワセは

中々イコールにはなれないのよ

親ってのは型にはまった幸せを幸せだと思っちゃうし

普通って難しいわよねぇ

アタシには難しすぎるわ

え?アタシのシアワセって何かって?

愛されることかしら

人に愛されるのは難しい?

そうよね、わかるわ

だからね、まずはアタシがアタシを愛してあげる事にしたの

そしたからアタシはアタシに愛されてるわ

ナルシスト?違うわよー!

アタシ位アタシを愛してあげないと、

人に愛されるなんて難しすぎるじゃない!

まずは自分を愛し、赦す事から始めるのよ

そうすればいつの間にかきっとイイオンナになってるはず

そうよ

自分を信じるのよ

2/19/2024, 3:33:45 PM

♯枯葉

気が付いたら森の中に寝ていた。

見知らぬ場所である。

私は制服を着ているのを確認する。

自分の高校の制服。

名前は…ちゃんとわかる。

胸のポケットから生徒手帳を出し、

記憶と相違がないか確認する。

少し離れた場所に靴が転がっているのが見えた。

他に自分の持ち物らしきものは…?

手足が動く事を確認し、靴を履き、周囲を探索する。

シャク、シャクと森に積もった枯葉が音を立てる。

水音を頼りに沢に出た。

このまま川を下って行けば人里に出るのかな?

見慣れぬ植物に嫌な予感を覚えつつ、

ズキズキとしてくる頭を抱える。

これって…もしかして異世界ってやつ??

学校の階段から落ちたのは覚えてるんだよなぁ。

2/18/2024, 11:08:46 AM

♯今日にさよなら

寝ようと思えば思うほど寝付けない

目を閉じると余計に色んな音が気になったり

身体が暑く感じて落ち着かなかったり

寝返りをうちながら時間だけが過ぎていく

そろそろ寝なくちゃと思うけど難しい

そう思ううちに微睡んでいく


明日の自分は生まれ変わっているだろうか

嫌なことも全部呑み込んで

今日に

さよなら

2/17/2024, 6:04:38 PM

♯お気に入り

教室の扉を開くと今日も甘い声がする。

「あ、牧くん!おはよう!」

ふわふわとした髪を靡かせて花崎が近寄ってくる。

「…おはよう」

少し距離をとりつつ席に向かう。

席に着くと隣の席の田中に話し掛けられた。

「おはよ。なあ、もうちょい愛想良くしてあげれば?」

「おはよ。え…なんで?」

困惑して訊ねる。

「なんでって、どう見てもお前に気ぃあるじゃん?」

「そうよー、少なくともお気に入りっぽいし。さっきそのんな話してたよ」

反対側の席の小川まで話に加わってきた。

「ええー、お気に入りって俺、物や飾りじゃないし嬉しくないんだけど」

「え、酷い。冷たくない?」

聞こえたらしく酷くショック受けた顔で花崎がこっちを見ている。

「いや、仲良くしたいとか言われたら嬉しいかもだけど、そんなお気に入りとか物みたいに上から目線ぽく言う方が酷くない?ホストとかアイドルみたく自分を売り出してる訳でもないし」

なんか泣きそうな顔で見られた。

こういう子、苦手すぎる。

「ああ、確かにな〜!変な気の回し方してすまん!花崎も深堀してすまんかった!」

田中が冗談ぽく濁してくれた。

「いや、空気悪くしてごめん」

自分でも謝った。

言葉って難しい。

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