沫雪

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2/16/2024, 2:36:05 PM

♯誰よりも

高みを目指して

誰よりも

誰よりも

上を目指して

そこで掴むものが

宝物であるように


**

「今日もすごかったな!」

チームメイトが肩を叩く。

「やだなー、まだまだだよ」

汗を拭きつつ答える。

「うちのエースアタッカーは貪欲だなぁ。
なんであんなに高く飛べるの?」

「気合い!」

「即答かよ!」

2/15/2024, 2:20:30 PM

♯10年後の私から届いた手紙

**

10年前のわたしへ

信じられないかもしれないけれど、
10年後から書いています。
自分に手紙を書くなんて変な感じですね。

信じられないと思いますが、
そんな事もあるかもしれない。
それくらいの気持ちで受け止めて貰えれば幸いです。

今は色んな夢に、将来を決めかねているかもしれませんが
夢が叶う事はありません。

運命的な恋にも落ちませんし、

突然の異世界転生なんてものもありません。

うちの経済状況をみればわかると思いますが、
大学進学も難しいです。

母親の発言に振り回されなくていいです。
自分ができなかった理想を押し着けているだけです。

あなたはあなた。

苦しい時は母親に相談しなくていいから、
他の人の話を聞いたり病院行ったりしていいんですよ?

愛されたいのはわかるけど、
執着してはだめ。
自分の好きなものは幾つか持っておくと良いです。

残念な事に私は人との関わりが下手なのです。
友達は中々出来ないし、維持が難しいです。
趣味をたくさん持ちましょう。

こんな事を思いつくままに書き連ねたけれど、
毎日充実しています。

結婚して子どもも持てます。

その時困らないようにひとつずつできる事を増やして、
資格勉強や家事など頑張りましょう。

**

「何読んでるの?」

後ろから声を掛けられる。

「んー?手紙?読んでる」

「なんか当たり障りない事しか書いてなさそうじゃない?」

「そうかなー?なんかわかる所もあるよー?」

「占いみたいだよね。当たるかな?」

「どうだろ。でも悪くは無いのかも」

2/14/2024, 2:39:08 PM

♯バレンタイン

「ね、今日なにかあるの?」
帰り道ふいに聞かれて答える。
「何ってバレンタインでしょ」

「え」

愕然とした顔をしている。

「どした?」

「忘れてた…」

「そっかー。でもコンビニでもスーパーでも特設コーナー出来てるし、CMでもやってたろ?」

俺が聞くと神妙な顔をして答える。

「うん。美味しそうだなー。自分の買うとしたらどれにしようかなー?って思ってた。どうりで学校のみんなそわそわしてる訳だよね」

「気にしてなければそんなもんじゃない?」

「気にしてたのに、気づかなかったの」
俺がそう言うと拗ねたように絞り出した。

「ねえ?誰かからもらったりした?」

「は?もらってるはず無いじゃん、彼女いないし」

「じゃーさ、今からでも間に合う?ちょっとダッシュで行ってくる!」

今にも走り出して行きそうな同級生を思わず引き止めた。

「は?どーゆー意味!?」

「チョコあげたいの」

「はあ!?」

思わず固まる。


「だから、すきだって言ってるの!!」


一瞬が永遠に思えた。


「もう!!馬鹿!!」

走り去る彼女の耳まで赤かった。

2/13/2024, 10:41:40 AM

♯待ってて

「そう言われた方の気持ち考えたことある??」

何度目かも分からない酔っ払いの絡み方である。

「落ち着くまでとか安定するまでとか一体いつよ?何年かかんの??」

「そんな間に子ども生まれたどころかもう高校生ですけどー!!」
「ずっとシングルで頑張ってきましたけど!!認知も養育費も貰わずに!!」

「はいはい、育ててくれてありがとね。そろそろお酒やめとこかー?」
なだめながら隣の六畳間にひいてある布団まで引きずっていく。

「いい男に育って良かった...ろくでなしだけにはならないでね?」

そんなろくでなしに引っかかったのは誰だよ、とは思っても言わなかった。

だって吹っ切れたとかもう知らないと言いつつ、こんな何年も経っても管まくくらいに憎いとは言え忘れられない、認めたくは無いが好きだった男なのだろう?
我が父は。

「こんだけ待たせてるんだから大富豪とか石油王にでもなっててもらわないと割合わないわよねー」

石油王らしき父をまだ待ってたのか。

あきらめ悪いな。

「きっと俺が石油王になる方が早いんじゃね?」

「ふはは、わらうー!」

冗談に乗ってやったのに失礼な!

2/11/2024, 12:11:50 PM

#この場所で

突然の辞令だった。
でも良いタイミングだとも思った。

この場所で一からやり直そうって腹を括った。


はずだった。


出張と称して彼女は自分の前に現れたのだ。

「久しぶりだね。元気にしてる?」

***

同期入社の彼女。
面接の頃から意気投合し、励まし合い、よく飲みにも行った。
頑張り屋で前向きな彼女に惚れるのに時間はかからなかった。
お互いが居たから頑張れたと言い合った日もあった。
趣味の映画鑑賞でも話しが合い、あの映画気になるよね!となれば2人で休みの日に観に行ったりした。
帰りにカフェで感想話し合うのも楽しかった。

彼女の誕生日、欲しかったと話していたプレゼントも用意した。

意を決して告白したのだ。

でも返事は

「ごめんなさい」

「実は大学の頃から同棲している恋人がいるの」

嘘だろ??
こんな事ってあるのか??
半年以上時間あって、たくさん色んな話したけどそんな話出てこなかったじゃないか。
他の同期や女性社員からもそれとなく話も聞いてもらったのに。
意図せず無理やり誘って迷惑掛けてたら嫌だったし。

人間不信とはこの事だ。

だから、転勤も渡りに船だったのだ。

***

「不慣れながらも何とかやっているよ。そっちは?」

何とか平静を装って返す。

「私、あなたに頼りきっていたみたい。でも、心配掛けないように頑張るわね!」

変わらないな、と思いつつ苦笑する。

実は、他の人からも話を聞いている。
周りに俺との話しが回っていて少し居心地悪いらしい。
飲みに行くのも遊びに行くのも特に周りに隠していなかったし、俺の好意はバレバレだったみたいだからな...

「まあ、お互い頑張ろうな」

あっさり流すくらいには、気持ちは吹っ切れたはずだ。

この場所から、前に進むんだ。

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