♯バレンタイン
「ね、今日なにかあるの?」
帰り道ふいに聞かれて答える。
「何ってバレンタインでしょ」
「え」
愕然とした顔をしている。
「どした?」
「忘れてた…」
「そっかー。でもコンビニでもスーパーでも特設コーナー出来てるし、CMでもやってたろ?」
俺が聞くと神妙な顔をして答える。
「うん。美味しそうだなー。自分の買うとしたらどれにしようかなー?って思ってた。どうりで学校のみんなそわそわしてる訳だよね」
「気にしてなければそんなもんじゃない?」
「気にしてたのに、気づかなかったの」
俺がそう言うと拗ねたように絞り出した。
「ねえ?誰かからもらったりした?」
「は?もらってるはず無いじゃん、彼女いないし」
「じゃーさ、今からでも間に合う?ちょっとダッシュで行ってくる!」
今にも走り出して行きそうな同級生を思わず引き止めた。
「は?どーゆー意味!?」
「チョコあげたいの」
「はあ!?」
思わず固まる。
「だから、すきだって言ってるの!!」
一瞬が永遠に思えた。
「もう!!馬鹿!!」
走り去る彼女の耳まで赤かった。
2/14/2024, 2:39:08 PM