インディウム

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10/2/2024, 1:56:43 PM

あの夏の日、
とある街の、とあるバス停で

もう二度と会えないと思っていた君に出会った。
うっすらと雨の匂いの染みた二車線道路に
いつかの淡い想いが、しまったはずの記憶が、
ちらつくように喉の奥を刺す。
どうしようもない、あの夏の日の思い出。

だけれど、どうしてだろう、君の、君だけの
けはいが、せなかが、もうどこにもいない。

あの街と、あのバス停と、あの二車線道路と、
いっしょに押し流されてしまった君の輪郭を、
ただ、ただ、ただ、ただ、
いつまでも、いつまでも、追っている



(奇跡をもう一度)

5/2/2024, 10:59:43 AM


雨が降る下り坂を

傘も差さずに歩いた

道路脇をいつかの花びらと

不甲斐なさが流れている


こんなのはとんだ三文芝居だ。


横隔膜の上の気持ち悪さが

僕の息を邪魔するんだ

視界の端、道行くランプが鬱陶しい

こんな悲劇のごっこ遊びがしたいわけではないんだ


ああ、

ああ、

どうか優しくしないで

生温い毒はもううんざりなんだ


もう、優しくしないで。



                  (優しくしないで)

3/9/2024, 1:34:43 PM

私ごとですが、

二年の浪人生活の末、ようやく努力が報われました。

支えてくれた全ての人に

感謝を。

過ぎ去った日々に、

乾杯。

11/6/2023, 1:10:16 PM

秋雨といふには遅き雨降れり。
七十二候は紅葉の蔦黄ばむとあるを、
木々も並べてならぬ暑さに戸惑いけるにや、
その便りもいまだ聞かず。

しのぶることの多き世なれど、
いつか時めく夢見て、
などか諦めるよしあらむ、
いまだ散るほどにあらずと
勉むる人のいかで羨ましからむ。


もみぢ葉や
時ならぬ雨風
荒るとも
染め果つまでは
散らぬとばかりに


人言ふ、ままならぬ世ほど面白きはなし。

10/22/2023, 1:13:53 PM

めっきり寒くなりました。
いつのまにか鈴虫の声もなくなって
しんとした静けさが
住宅街に降り積もる。

こよみの上では
明後日は霜降、もうじき霜も降り始めるそうです。
半年ものあいだ、衣装棚に眠っていたコートも
出番を今か今かと待っていることでしょう。



秋と冬の狭間の、
昼は忙しく夜は静かなこの時期が
僕はわりあい好きです。

昼は目いっぱい身体を使って、
夜は風呂であたたまって
外界のあれこれをぼうっと遠く眺める。

そうして寝床に潜ったあとは
秒針がチックタックと回るのを聴きながら
ひとり、まっくらな部屋で
どこまでも深い天井を眺めるうちに

僕の心臓が
冷えた空気から得た酸素と
和やかな心地よさとが混ざった血液を
送りだす音が聞こえるのです。


                   (衣替え)

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