秋雨といふには遅き雨降れり。七十二候は紅葉の蔦黄ばむとあるを、木々も並べてならぬ暑さに戸惑いけるにや、その便りもいまだ聞かず。しのぶることの多き世なれど、いつか時めく夢見て、などか諦めるよしあらむ、いまだ散るほどにあらずと勉むる人のいかで羨ましからむ。もみぢ葉や時ならぬ雨風荒るとも染め果つまでは散らぬとばかりに人言ふ、ままならぬ世ほど面白きはなし。
11/6/2023, 1:10:16 PM