インディウム

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6/11/2023, 12:52:30 PM

雨、街。
梅雨、影。

昼下がり、坂道。
霊苑、六地蔵。

傘、ダンゴムシ。
踏み切り、排気ガス。

曇り空、二車線道路。
濡れた膝下、夏草。



雨上がり、街。
六月、蒸し暑さ。

背中の汗、張り付くTシャツ、
坂道、坂道。

日曜、正午過ぎ。
明日のこと、将来のこと。

不安、自己嫌悪。
雨、街。

梅雨、街。                (街)

6/7/2023, 11:42:03 AM

終末ですか、そうですか
愚かな人間です
泣き出したり泣き止んだり
投げ出して開き直ったり

この前の週末は
月に行きました
今度の終末には貴方と一緒に
また出かけたいな

ラプラス岬から見える
虹の入り江が絶景なんだ
夜明けの明かりがジュラ山脈の
稜線を真っ白に染めるのさ

週末、行きませんか。
終末、行きませんか。




              (世界の終わりに君と)

5/23/2023, 2:42:03 PM

なんでもない日の筈だった
出会しさえしなければ

思わず目を逸らした
叱られる子どもみたいな惨めさで

全てを捨てて歩み出したつもりだった
再び新たに進み出した筈だった

捨てきれなかった身体を抱えて
ベッドでただ丸くなる

筆を進めるたびに
背筋を悪寒が往復する

また
尻尾を捨てた。


なんでもない日の筈だった

不甲斐なさに蓋をして
情けなさに鍵をして

自己嫌悪は深い深い、砂の中へ
苦労して埋め込んだ

それらがいっぺんに放り出される
そんな日がいつか来ることも

手を止めるたびに
背筋を悪寒が往復する

また
尻尾を捨てた。


見て見ぬふりをしていたのも
忘れたふりをしていたのも

わかっていたさ、わかっちゃいたんだ

でもなぁ、でもなぁ、
俺は蜥蜴になりたかった。

詩を綴ろうとするたびに
背筋を悪寒が往復する。

また
尻尾を捨てた。


             (トカゲ/逃れられない呪縛)

4/6/2023, 3:32:25 PM

夜に泳ぐ白いくじらが
流星を一粒飲み込んだ

春霞に沈んだ灯籠の海の
その底から生えたビルの中で

潮の流れを聴いている。

時おり赤いテールランプと
エンジン音が染み出した
三十二階、
夜空一杯分のカクテル

そんな気分になった、
君の目を見つめると。

4/5/2023, 2:32:00 PM

薄暗い部屋で起き出す
たまらずくしゃみが一つ
外の世界はもう春らしい
花粉が鬱陶しいな
ちょうど日付が変わった

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