インディウム

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なんでもない日の筈だった
出会しさえしなければ

思わず目を逸らした
叱られる子どもみたいな惨めさで

全てを捨てて歩み出したつもりだった
再び新たに進み出した筈だった

捨てきれなかった身体を抱えて
ベッドでただ丸くなる

筆を進めるたびに
背筋を悪寒が往復する

また
尻尾を捨てた。


なんでもない日の筈だった

不甲斐なさに蓋をして
情けなさに鍵をして

自己嫌悪は深い深い、砂の中へ
苦労して埋め込んだ

それらがいっぺんに放り出される
そんな日がいつか来ることも

手を止めるたびに
背筋を悪寒が往復する

また
尻尾を捨てた。


見て見ぬふりをしていたのも
忘れたふりをしていたのも

わかっていたさ、わかっちゃいたんだ

でもなぁ、でもなぁ、
俺は蜥蜴になりたかった。

詩を綴ろうとするたびに
背筋を悪寒が往復する。

また
尻尾を捨てた。


             (トカゲ/逃れられない呪縛)

5/23/2023, 2:42:03 PM