伊勢海老

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3/16/2025, 1:36:54 AM

昨日の夜、何かすごく"赤いもの"を見た気がする。
アホになるほど飲んでしまったから、それが現実なのかはたまた酒が作り出した空想なのかわからない。
友人はおらず、1人。以前から興味を惹かれていた海鮮居酒屋のカウンター席で酒を飲んでいたことまでは覚えている。
だが、店を出て何をしたのかが全く記憶にない。
そこで見たはずなのだ。
幸いなことに今日は休みなので、頭痛薬と胃薬を飲んで、真相に迫る探偵ごっこにでも興じてみよう。

家をでると、オレンジの光と少しの寒さが肌を刺激した。
もう少し厚着をしても良かったが、この刺激が二日酔いを覚ますのにちょうど良い塩梅のものだったため、僕は上着を取りに帰りはしなかった。
そして昨日と同じ道を辿る。
店は最寄り駅に新しくできたもので、自宅からは20分程の位置にあった。
歩いている間に、"赤"について思考をめぐらす。
昨日、食べたマグロ、飲んだ赤ワイン。
隣に座っていたカップルの女のカバン。リップ。
そして、血の色。
海の色は青いのに、海鮮居酒屋は赤いものばかりだな。そう感じるとともになぜ酒で記憶をとばしていながらも話もしなかった女のカバンの色を覚えていたのかという疑問がうかんだ。
「もし、その"赤"が本当に事件性のあるものだとしたら、これは案外、芝居ではなく本当に探偵になるのかもしれないぞ。」等と映画の1幕のようにセリフをはく。
この何かに巻き込まれる不安感と高揚感を表現する言葉は...そうだな、海とかけて「心がざわめく」がいい。

そんなことを考えながら歩いていると、その"赤"は唐突に正体を表した。

赤い、赤い、1尾のエビが地面に横たわっていた。

居酒屋付近のコインパーキングの前。
呆気にとられながらも、そのくだらなさに笑ってしまった。
所詮、現実なんてこんなものよ。
だが、ここまでくだらないと、かえって心は晴れる。
そう踵を返し、帰路に着いた。

その時は考えもしなかったのだ。
居酒屋の近くのパーキングにエビがある意味。女のカバンとリップの色を覚えていた理由。
二日後、少し離れた山でカップルの男の遺体が見つかった。死亡時刻はあの晩。パーキングの監視カメラにはエビの写真をとるカップルとそれを見ている僕、そして謎の黒い男の姿が写っていた。
まだ、女は行方不明らしい。

3/14/2025, 3:11:10 PM

0時になって血眼でインターネットを漁る。
あぁノスタルジーを呼ぶ、あの広告のゲームよ。
小学生のピュアな私を汚し、期待感と罪悪感を同時に産んだ、あの名前も覚えていないゲームよ。
君はどこへ行ってしまったのか。
僕は十数年、君のことを考えていたのに、君はこの大海原から消えてしまったのか。
1時を過ぎるとタイピングの手が次第に弱まっていき、思わず泣きそうになる。
さようなら、私の夢。
さようなら、私のノスタルジー。

3/9/2025, 11:35:05 PM

言葉に優先順位があるとするならば、それは何によって決められるのだろうか。

きっと、言語を専門的に学んでいる人はわかるのだろうが、言葉というものが一般人でしかない私たちに使われていることから、共通の感覚があるのではないだろうか。

これはあくまで日本語話者としての話になるのだけれど、さきほど挙げた「共通」という言葉からはほど遠いのだけれど、まず、考えてしまうのは英語などで「th」のような発音をするものは順位が下がるだろう。

あと大きく分けるとすれば子音と母音。
これの優先順位は、言葉に使われる文字を見て決めるとしても、発音的な意味からしても明白な気がする。
つまり母音が多い方が上で子音が多い方が下である。

そう考えると五十音順というのは非常に理にかなった作りのような気がする。

では母音の中での順位はどうか。
母音を2回繰り返した言葉を比べてみるとそれがわかる。

嗚呼、良い、うう、ええ、おお

「良い」以外は全て感嘆詞だと。

しまった!
嗚呼、なんということだ!
感嘆詞がこの理論の上位に存在することで、僕はこれの差別的な暴力性に気がついてしまった。

そんな風に本気で悲しむ馬鹿な男と友達になりたい。

3/8/2025, 12:50:27 PM

秘密の場所。
それは誰にも見せたくない場所。

秘密の場所。
それは個人的な場所。

つまり、それは体内。
お医者さん。僕は手術を受けるのが恥ずかしくて堪らないのです。

どうか、責任を取ってください。

3/5/2025, 7:44:34 PM






パァン!!





ドサッ!

このアプリの背景のように真っ暗な部屋で怒った、殺人事件のお話です。
さて、誰が犯人で誰が被害者なのか。

「こんなのくだらなくて、考える気も起きないね。」
ミステリ好きの中年オヤジ。

「ニュースを見ていた方が、マシだわ。」
ゴシップ好きのマダムがそう返す。

「なんで彼らは怒ったの?」
疑問を浮かべる少年。

それはね、顔がわからないからだよ。
言い換えるとね、脈がないから、感じられないからだよ。

死体と同じさ。

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