ある電車の駅にて
ふらふらと足をよろめかせながら
酒を片手にホームを歩く
あの不良少女と同じように
ふらふらと揺られながら
鞄を片手にうとうとしている
あのサラリーマンと同じように
夢の世界へと行きたいと願う
どうか寝台特急の切符を1枚譲ってはいただけないですか
「そう思うってことは、君はその逆ってことでしょ。君は誰かにそう言って欲しいんだよ、きっと。それで安心したい。だから、言って欲しい言葉を誰かに伝えるフリして、自分に伝えてるだけなんだよ。バカだね。」
そして、君は僕と二週間後に死ぬ。
それでこの話はおしまい。
登場人物は二人だけ。
『元気かな』
涙を意図的に流すと頭がスッキリとして好きだ。
脳の中から言語化できないモヤモヤと満足感を一緒にして頬をつたい落ちる涙。
美しいものではなく、自己中なもの。
海や湖ではなくて、公園の蛇口を出しっぱなしにした時の水に似ている。
きっと、青空が似合う。
春の日の、何かが始まって少し慣れてきたころ。
そういう涙を綺麗な空気の自然の匂いと交換して、誰に邪魔されることもなく流したい。
「みんな覚えてることに夢中で、忘れたことを含めて記憶だってことに気がついていないの。それも、すごく個人的な視点で。基本的に自己中なのよね、人って。」
︎︎そう言って笑う君に一言。
「その理屈は正しいと思うよ。でも、君。わかってはいないんじゃないか。」
︎︎不思議な顔をして首を傾げる君の姿が僕の脳の奥に、言葉と共にこびりつく。
まただ。またひとつ増えた。
「どこ?」
聞こえたのは男の人の声?女の人の声?
若い?年老いている?
怒っている?笑っている?
これはあなたの精神状態を表します。
そんな話を大学の哲学の先生が言っていた。
私はこの先生が嫌いで嫌いで仕方がなかった。
この先生はいわゆるジェンダー論や差別、女性論が専門だった。
私が前時代的な思想に凝り固まった人間のなのかは私自身がどう見られているかによるものだからわからないが、私はそういった視野を持つことが必要だろうと考えて、彼の講義をとったことは事実である。
では、この先生の何が嫌いだったのか。
その理由はひとつ。
正義を盾に、学生をいじめることにたけていたからだ。
この質問にもそれが感じとれるだろう?
ある日、1人の学生が吊るしあげられた。
講義では匿名の質問が募られ、次回の講義の最初でそれに対する返答があった。
「こんなことを書くやつがいるから世の中良くならない!」
質問は前回の家庭における役割の授業の内容において、環境によって例外としてこういったものはないかという、的をいた丁寧なものだった。
先生が声を荒らげたとき、私はこう思った。
どこで、どこの道のプロが、世の中をどの道に良くしようというのか。