風が吹いて、並べたドミノがダメになった。
もう少しで自己ベストだったのに。
あぁもう立ち直れない。
そこまで堕ちて行くと不思議なことが起こった。
あれだけ大切にしていたドミノが初めて空虚な物に見えた。
すこしスッキリとする。
少女はドミノを片ずけることなく、部屋を出た。
部屋に残されたドミノにはサイコロの目ではなく、絵とひとつの言葉が書かれており、さながら絵日記のようだった。
風が窓から入ってきて、ドミノがカタカタと音をたてる。
少女は隣の部屋でその音を聞いて少し照れくさそうに笑った。
これは風のイタズラなのだろうか、それとも?
先生
「涙に色はないけれど、その経験がお前の人生に色をつけるんだぞ。」
科学者
「透明だなんて言っても、認識できるのだから光が反射して何かしらの色はついているのですよ。」
俳優
「透明な涙だぁ?そんなもんは未熟なやつの流すもんだ。涙に色が付けられるようになってからがぁ、一人前ってもんよ。」
詩人
「涙は海です。きっと人によってそれを額縁に閉じ込める時に使う色があるでしょう。同じ海の絵を見たことがないように。」
セミ
「ミーンミンミンミンミン........ジジジッ」
僕
「セミのように生きていきたい!!!」
そっと、教室を抜け出して
授業を抜けた馬鹿がいる。
彼は自由か不自由か。
気づかぬ先生は彼にそれを伝えることはおろか、その二択を考えることも出来ない。
同じくそれに気づいた委員長気質の君。
「きっとなんでも良かったのよ、手段なんて。でもあれは最悪。彼の自由は寒さと枯葉と少しの孤独になってしまうのだから」
そっと、そうつぶやく。
僕もそっと言葉を返そうとしたとき、誰かが爆音でイビキをかきはじめた。
雪が降りつもる、レンガのお家の前
赤い服を着たおじいさんとトナカイ
ソリの整備に大忙し
Ring...Ring....
Ring...Ring....
鈴の音の鳴りがどうも悪い
すると、鈴の間から1枚の手紙が落ちてきた
サンタさんへ
この手紙を読んでいるってことは僕の計画は成功したってことだ
後ろを向きなよおバカさん!
ソリは頂いたぞ!!!
僕の欲しいものはこの空を飛ぶことさ!!!
Ring...!Ring...!
Ring...!Ring...!
大きな音で鈴がなる
風が吹いて雪が舞い上がり、ソリが大きく空を飛ぶ
その日、無邪気な笑い声と夢が世界を駆け巡った
これにはおじいさん大笑い
「これぞ子供の自由さよ!物ではなくて経験を欲しがるとは、これは将来有望な子じゃ!大胆に無邪気に空を駆け巡るがいい!」
そんな事をサンタに言われてみたいと考えていると、クリスマスイブにそんな夢を見た。
もう子供ではない、大人の夢。
だけど、鈴の音が鳴ると頭によぎる。
雪の中を駆け巡り、笑いながら飛んだ空のことを。
あぁ自由だ。
君と一緒に
気味を2人で
黄身を入れて
黄味になるまで
混ぜ合わせたい。
あのお皿が割れるまでは一緒にいましょう。