居酒屋にて
「終わらない物語なんてないじゃない。
だって、未完の作品でも、作家の終わりとともに語られるものなのよ。
物語だって人生だって、案外簡単に唐突に終わるものなの。
きっとそれがわからないことを幸せと言って、物語も人生も終わらないと思うことを平凡というのでしょうね。」
彼女が僕にそう言った。
「なら、僕はあの時...」
そう僕が涙ぐみながら返そうとしたとき。
「終わらせてあげるのは、優しさとプライドよね。」
彼女は僕に微笑んで言った。
「羅針盤なんてリサイクルショップで100円以下で売ってるじゃない。そうゆうものなのよ。」
そう言った君を見て、何かがズレた。
理科室の中、磁石になった僕たちの話。
ただひとりの君へ
そんな手紙が一通でもあれば、空でも飛べるんじゃない?
知らないけど。
風が吹いて、並べたドミノがダメになった。
もう少しで自己ベストだったのに。
あぁもう立ち直れない。
そこまで堕ちて行くと不思議なことが起こった。
あれだけ大切にしていたドミノが初めて空虚な物に見えた。
すこしスッキリとする。
少女はドミノを片ずけることなく、部屋を出た。
部屋に残されたドミノにはサイコロの目ではなく、絵とひとつの言葉が書かれており、さながら絵日記のようだった。
風が窓から入ってきて、ドミノがカタカタと音をたてる。
少女は隣の部屋でその音を聞いて少し照れくさそうに笑った。
これは風のイタズラなのだろうか、それとも?
先生
「涙に色はないけれど、その経験がお前の人生に色をつけるんだぞ。」
科学者
「透明だなんて言っても、認識できるのだから光が反射して何かしらの色はついているのですよ。」
俳優
「透明な涙だぁ?そんなもんは未熟なやつの流すもんだ。涙に色が付けられるようになってからがぁ、一人前ってもんよ。」
詩人
「涙は海です。きっと人によってそれを額縁に閉じ込める時に使う色があるでしょう。同じ海の絵を見たことがないように。」
セミ
「ミーンミンミンミンミン........ジジジッ」
僕
「セミのように生きていきたい!!!」