伊勢海老

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風が吹いて、並べたドミノがダメになった。
もう少しで自己ベストだったのに。
あぁもう立ち直れない。

そこまで堕ちて行くと不思議なことが起こった。
あれだけ大切にしていたドミノが初めて空虚な物に見えた。
すこしスッキリとする。
少女はドミノを片ずけることなく、部屋を出た。

部屋に残されたドミノにはサイコロの目ではなく、絵とひとつの言葉が書かれており、さながら絵日記のようだった。
風が窓から入ってきて、ドミノがカタカタと音をたてる。

少女は隣の部屋でその音を聞いて少し照れくさそうに笑った。

これは風のイタズラなのだろうか、それとも?

1/17/2025, 1:57:27 PM