レム

Open App
1/2/2024, 12:52:50 PM

今年の抱負。それを聞かれても、すぐには答えられなかった。今年は変わりたい。今年こそ何かをしたい。そう思ってはいる。だが抱負を抱えるのはしたくなかった。努力を拒み、行動を拒み、安全圏に浸る。それが日常。そんなある日、友人と喫茶店に来た。僕は普段通りの会話をするつもりだった。しかし、友人から開口一番に言われたのは、[お前、また今年の抱負かけないんだろ。国語の授業でまた恥をかきたいのか?]
[……僕だって、書きたいよ。ででも……中々、決まらないんだ。考えても、考えても……うずくまるばかりで]
[まあ、いいんじゃねーの?今年の抱負だとか、掲げたはいいけど何もしなかった人類が何人いると思ってる?お前は自分にできない事を知っていたから、目標が立てられないんだろ?なら何もしない人類よりはよっぽどマシだと思うぜ。お前は目標がなくても、ちゃんとする人物だからな]
友人の言葉を聞いて、僕は原稿を完成させることが出来た。

三学期の国語の授業。僕は一礼をして、スピーチ原稿を読む。
[僕には、今年の抱負は思いつきませんでした。なので、今年は一生懸命に毎日を生き、精一杯の事ができるよう、努力をします。去年はうずくまるだけで、何もしませんでした。きっと今年もなんとなく一年を終えるでしょう。それでも、何かひとかけらの努力をしたい。せめて勇気を振り絞り、行動がしたい。それが出来るように、僕は一年をご過ごします。上手く言葉に出来たか自信はないです。でも、僕は頑張りますので、どうかこのスピーチでお許しを。ご清聴、ありがとうございました]

スピーチを終えて席に座る。その時友人と目が合い、微笑んでくれた。

休み時間、友人は僕の席に来て褒めてくれた。
[スピーチ、頑張ったじゃねえか]
[ありがと。僕なりに出来たと思う]
友人は一人呟く。
[努力するって、充分今年の抱負じゃねえか]
[何かいった?]
[いや、何も]
友人の声は、教室の騒ぎ声でかきけされたのであった。

12/15/2023, 12:50:54 PM

[雪、降ってほしい……]
窓から外を眺めると、空は雲っていて、雪が降りそうだった。
[今日雪降るって!百パーセント!]
私の友達がテンションよく後ろから飛びかかってくる。
[雪降ったら、何したい?]
[まずは雪だるまでしょー!で、雪合戦!それからかまくら作って、雪で色んな動物とか作る!]
[色々作りすぎじゃない?]
[まあまあ、いいじゃないのー!折角の雪なんだし!]
二人で仲良く談笑していると、雪を待つのもあっという間だった。

12/7/2023, 11:07:37 AM

部屋の片隅で僕はうずくまる。
理想をみているつもりだった。現実をみてるつもりだった。だが、違った。僕はどちらも見てみぬふりをした。理想を描いてはそんなものはないと拒絶し、現実を想像すればそんなものは嫌だと拒否する。僕はいったい何がしたいんだ。こうして貴重な時間を消費した僕には、夢を叶える権利なんてない。

そう思っていた。
ある日、部屋の片隅にいたのは羽の生えた妖精だった。
ついに幻覚をみるようになってしまったか。今日はもう寝よう。
ベッドに向かおうとすると、妖精は僕の腕を勢いよくひいてきた。
[無視すんなや!折角可愛い可愛い妖精がお前のまえに現れたんだぜ?こんなチャンスもう二度とないから、寝るなんてもったいないのだよ]
[そうですか。可愛い妖精さんもその口調じゃ可愛くないですよ。はい、この話はおしまい。もう寝るおやすみ]
[おい!?お前、夢があるんだろ?なら、それを諦めていいのかよ!?]
妖精は僕の頬に強烈なパンチをくらわせてきた。
[いってえええ!?]
[夢があんなら諦めるな!!現実がなんだよ!?前をみて、進んで、理想も現実もおい
かけろ!]
[でも、夢は叶わないし……]
[そりゃうずくまってるだけじゃなーんも叶わないだろうな。行動しないと叶うものも叶わない。なら、せめて行動してからそう言えや!!なさけねぇ!!]

その妖精に勇気をもらったため、僕はうずくまることを辞めた。
現在は小説を執筆し、新人賞に応募している。夢が叶うかはわからない。けれど、行動しなければ絶対に何も起きない。だから僕は歩き続ける。努力できる時間があるかぎり。

12/6/2023, 11:00:04 AM

価値観が逆さまになった。世界が一転した。
勉強できる人が馬鹿で、勉強できない奴が天才になった。
努力してる人が蔑まれるようになって、努力しない人間が褒められるようになった。
それでも、頑張り続ける人がいた。
[なぜ、君は頑張るんだ?]
俺が問いかけると、そいつは微笑を浮かべて、
[努力しか、僕にはできないからです。努力をしなければ、僕はただの屑人間ですから。僕は僕の価値をたかめるために、努力を続けます。例え馬鹿にされようと、絶対]
俺は心に強い尊敬を持った。
[なら、俺も努力するしかねぇな。屑人間同士頑張ろうぜ。で、名前は?]
[ルカです!あなたは?]
[俺はゴウだ!よろしくな!]


価値観が逆さまになった世界でも、努力する人間は強い。
君の世界は逆さまになってないだろう?ならば何故努力をしない?
もちろん、これを読んでる人の中には努力をしてる人間もいることは承知さ。それは素直に敬愛も尊敬もするが。

努力をする人間ほど強いものはないと、個人的な意見では思うね。もちろん戦力の意味ではないよ?
さあ、一歩だけ前へ進め。

12/6/2023, 8:49:32 AM

眠れないほど幸せな時間だった。彼女と過ごした時間は。

[○○くんは、スッゴク優しい人だね!]
[呼び捨てで、呼んでもいい……?]
[○○……私は、あなたが、大好き、です!]

その全てを覚えている。頭にこびりついている。誰か、彼女を忘れさせてくれ。
[ダメ。それは許さない]
[誰だよ……]
[振り向いちゃダメ。あなたは前を進むべき。忘れちゃダメ。あなたはこれから成長すべき。それと、死んじゃダメ。あなたは真っ直ぐ生きるべき!!]
その声が誰のものだったかは、わからなかった。けれど懐かしかった。


ーー
[全く、私はもう死んだのに……何でそこまで執着するのやら。……なんか考えたら眠れなくなってきたー!もう、あいつのことなんてずっと考えてやる!!]
すっかり静まり返った夜に、そんな明るい声が響いた。

Next