レム

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部屋の片隅で僕はうずくまる。
理想をみているつもりだった。現実をみてるつもりだった。だが、違った。僕はどちらも見てみぬふりをした。理想を描いてはそんなものはないと拒絶し、現実を想像すればそんなものは嫌だと拒否する。僕はいったい何がしたいんだ。こうして貴重な時間を消費した僕には、夢を叶える権利なんてない。

そう思っていた。
ある日、部屋の片隅にいたのは羽の生えた妖精だった。
ついに幻覚をみるようになってしまったか。今日はもう寝よう。
ベッドに向かおうとすると、妖精は僕の腕を勢いよくひいてきた。
[無視すんなや!折角可愛い可愛い妖精がお前のまえに現れたんだぜ?こんなチャンスもう二度とないから、寝るなんてもったいないのだよ]
[そうですか。可愛い妖精さんもその口調じゃ可愛くないですよ。はい、この話はおしまい。もう寝るおやすみ]
[おい!?お前、夢があるんだろ?なら、それを諦めていいのかよ!?]
妖精は僕の頬に強烈なパンチをくらわせてきた。
[いってえええ!?]
[夢があんなら諦めるな!!現実がなんだよ!?前をみて、進んで、理想も現実もおい
かけろ!]
[でも、夢は叶わないし……]
[そりゃうずくまってるだけじゃなーんも叶わないだろうな。行動しないと叶うものも叶わない。なら、せめて行動してからそう言えや!!なさけねぇ!!]

その妖精に勇気をもらったため、僕はうずくまることを辞めた。
現在は小説を執筆し、新人賞に応募している。夢が叶うかはわからない。けれど、行動しなければ絶対に何も起きない。だから僕は歩き続ける。努力できる時間があるかぎり。

12/7/2023, 11:07:37 AM