「…これ、は…」
彼の家のゴミ箱で見つけた、薬局で処方されるような紙袋と薬が入っていたであろう包装シート。
震える手で紙袋を手にとってそっと裏返す。
そこに書いてある病名が目に入った瞬間、ひゅっと息が詰まる。
このときだ。
どうすることもできない心のざわめきが確かなものになったのは。
心のざわめき #195
「…先輩?」
なんとか先輩とのデー…、ううん、お出かけに結びつけた日のこと。
話しながら歩いていたとき、ぴたりと足を止めた先輩に、俺も足を止める。
ただ一点を見つめて微動だにしなくなった先輩を不思議に思っていたら、先輩の頬をつぅと静かに伝ったのは透明な涙。
「…っ、」
言葉がなくなる。
音が消える。
先輩の世界に静かに線引きされた気がした。
何か言おうとした口は、はくと何も言えずにただ意味を失う。
それと同時に痛んだ心臓は奥へ押しやった。
…ああ、先輩は今も何気ない景色に彼を探しているんだ。
透明 君を探して #194
(書いてなかったこの期間結構大きいかも。書けない)
ずっと書いてきた小説のデータ全部消えててめっちゃ落ち込んでた…
もう立ち直れない…
「…今日どこ行ってたの」
「え、ちょ、わ…っ」
思いっきり後ろから服を引かれて、バランスを崩す。
不機嫌丸出しの彼に苦笑しながら応える。
「ごめんて。ちょっと断れなくて。連絡もうちょっとちゃんとするべきだったね」
手に持っていた荷物とコートを近くのソファにとりあえず置いて彼の髪に指を通す。さらさらとした感触と、この柔らかい匂いはきっともうお風呂に入ったのだろう。
「…ごめんて思ってるなら、ちゃんと真っ直ぐ帰ってきて。どこもいかないで」
「うーん…善処はするよ」
涙が滲んだ彼の瞳が揺れる。
あ、やばいかも。と思ったときには涙で滲んだ声を出しながら、思いっきり頭突きするように抱きついてくる。
ううー…と唸る彼の重さに耐えながら、そっと、でも確かに受け止める。
…さぁて。ここからだ。
「…すまほ」
しばらくすると、くぐもった声が震えるように落とされる。
…やっぱりかぁ。
むくっと顔を上げた彼に曖昧な笑みを返す。
「スマホ見せて」
「…や、ちょっと…」
「スマホ見せてって。はやく。見せてってば」
「あっ、もう…」
右手に持っていたスマホが見つかって奪うように取られる。
渋りつつも、こうなることを期待してスマホを手元に持っていた俺はお互い様かもしれない。
question #193
(疑うって意味もあったよね…?(うろ覚え))
はらり。ひらり。
ひとり、またひとり落ちていく。
励まし合っていた隣の子もなにかを言いかけて引き剥がされていった。
やっと、やっと外の世界に出られたのに。
咲いたばかりの桜の花びらがまた1枚、冷たい冷たい地面に吸い込まれていった。
ひらり #192
(ついに世界バクったん?3月だよ今。初雪って…この前の強風といえ、世界のバクとしか思えない)