「…今日どこ行ってたの」
「え、ちょ、わ…っ」
思いっきり後ろから服を引かれて、バランスを崩す。
不機嫌丸出しの彼に苦笑しながら応える。
「ごめんて。ちょっと断れなくて。連絡もうちょっとちゃんとするべきだったね」
手に持っていた荷物とコートを近くのソファにとりあえず置いて彼の髪に指を通す。さらさらとした感触と、この柔らかい匂いはきっともうお風呂に入ったのだろう。
「…ごめんて思ってるなら、ちゃんと真っ直ぐ帰ってきて。どこもいかないで」
「うーん…善処はするよ」
涙が滲んだ彼の瞳が揺れる。
あ、やばいかも。と思ったときには涙で滲んだ声を出しながら、思いっきり頭突きするように抱きついてくる。
ううー…と唸る彼の重さに耐えながら、そっと、でも確かに受け止める。
…さぁて。ここからだ。
「…すまほ」
しばらくすると、くぐもった声が震えるように落とされる。
…やっぱりかぁ。
むくっと顔を上げた彼に曖昧な笑みを返す。
「スマホ見せて」
「…や、ちょっと…」
「スマホ見せてって。はやく。見せてってば」
「あっ、もう…」
右手に持っていたスマホが見つかって奪うように取られる。
渋りつつも、こうなることを期待してスマホを手元に持っていた俺はお互い様かもしれない。
question #193
(疑うって意味もあったよね…?(うろ覚え))
3/6/2025, 1:16:50 PM