「…お前ってまじで俺のこと好きなんだな」
「ずっと言ってるじゃん!律をつくってる細胞ひとつひとつで愛してるよ!」
「…ちっさ」
「…で…、……律はいつになったら俺のこと好きになってくれるんですか」
「……さぁ」
小さな愛 #223
割れてしまったマグカップ。
否、割ってしまったマグカップ。
慌てたように瞳に涙を溜めて、その破片に手を伸ばしたのは生涯かけて守ると決めた相手だった。
俺が止めるのも聞かずに、破片を拾い上げようとしたきみの柔い肌がいとも簡単に傷ついた。
じわと溢れ出す鮮やかな紅の液体。
俺なにやってんだ。
守ると誓っておいて、結局傷つけてるのは俺じゃないか。
マグカップ #222
勝ち負けなんて本当のところどーでもよかった。
「あーっもうっ、なんっで!俺が負けてんだよ!」
「今回は俺の勝ち、かぁ」
「だーっ!腹立つ!」
くすくす笑う彼に苦しくなる心臓は誤作動なんだと思いたかった。
「でも俺数学は教えてもらってなかったら、今回確実に負けてたなぁ」
「もうお前には教えないからな!」
「えぇ、困るよ。それに、そっちも困るんじゃない?俺英語教えないよ?」
「……」
「あ、そっぽ向いた。かわい」
うるせーばか。
勉強会なくなんのが下心込みの"困る"だって知ったら、こいつはどんな顔するだろうか。
その顔を知るのが怖くて今日も。
勝ち負けなんて #221
どうしてもどうしても僕を縛る透明な糸が纏わりついてくる。
それはどうとでもほどけるのに、僕にはどうしてもそれができないんだ。
ほどけない、ほどけない。
もがいてもがいて。だから余計絡まって。
もう首まで上がってきている透明な糸。
このまま糸だらけの僕は、
どうしても... #220
まるできみが知らないひとみたいだった。
「ねえ…、まって、すおちゃん、すおちゃん…」
手を伸ばせば伸ばすほど遠くてとおくて。
「そっちはだめ、だめだよすおちゃん…」
最後に見せてくれたのは、謝るようにかすかに笑った振り向きざまの儚い顔だった。
知らない世界 まって #219
(突然の二次創作。不意に書きたくなりました)