「あっ、ごめん、一人で盛り上がっちゃった」
照れたように笑って誤魔化すその表情に。
気付いたら彼の方を見ているその切なげな瞳に。
誰よりもずっと近くで見てきたから、分かってしまった。
こんなことに気付きたくて、ずっと近くにいたわけじゃないのに。
誰よりも、ずっと #254
やらなければいけないことで、やりたくないことがあったとき、無意識に自分を洗脳するようにしていた。
やりたくない、好きじゃないことを、自分はこれが好きだ、これをやりたい、と。
確かに効果はあったし、それなりの成果を得られている。
でも、いいことだけじゃなかった。
今、本当に自分が好きなこと、それが分からない。
大体のことがそれなりにできるし、好きだし、やりたい。
これじゃないと駄目、という特定の分野がない。
好きじゃないのに、自分を洗脳して、好きにさせて。
その結果、本当に好きなことが分からなくなっちゃった。
好きじゃないのに #253
「…はは、バカみたい」
分かっていたじゃないか。
終わらないものなんてない。
大切にしたいものが増えるということは、失うものが増えるということ。
だったら最初から何もいらなかったのに。
一時の夢に溺れて、バカみたい。
バカみたい #252
死、すなわち、たった1つの希望。
臆病な私には手を伸ばすことしかできない、たった1つの希望。
たった1つの希望 #252
疲れてしまった。
多分、私にはどこにも書けないことが山ほどある。
残してしまったら、弱い自分を欠けている自分を認めてしまっているようで。
後から見返したときに、どう思われるのが怖くて。
次第に書けることがなくなっていった。
いつの間にか、何も書けなくなっていた。
だって分からない。
今、自分が、何を思っているのか、何を考えているのか、何を書きたいのか。
書けない書けないで逃げていたら何も見えなくなった。
書けないことで山積みにした心の底には、自分の核となるものも埋まっていた。
埋もれて見えなくなって、探しても探しても見つからない。
どこにも書けない、じゃない。書くことが見つからない。自分がいない。
長年目隠ししていた目は、とっくに視力を失っていた。
目を覆っていた目隠しを外して、ようやく気付くなんて。私、馬鹿だ。
どこにも書けないこと #251