しずく

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4/3/2025, 1:23:37 PM

「きみとなら…どこでもいいよ!」
「…じゃあ、いこっか」
「うん!」

 最期に映ったのは、きみのえがお。


君と #204
(最近様々な界隈に手を出しては二次創作を書き殴っていました。初めてあんな文字数、短期間で書いた気がする)

4/2/2025, 4:23:22 AM

「あ、れ…?」
 気づくとそこは白の箱。
 つん、と独特の苦手な香りが鼻を突く。
 思うように動かせない身体をなんとか起こして、そこがカーテンで仕切られた病室であると知るのと同時に、ずき、と痛んだ頭。
「ん、んん…?」
 一瞬だけ脳内に流れ込んできた映像に、首を傾げる。
 まるで白い靄がかかったようになにも思い出せない。


「___優…っ!」
 ガラッと乱暴に音を立てた病室のドアに視線が向かう。
 医者から記憶喪失だと診断されて、間もなくのことだった。
「優、目覚めたんだね…っ。よかった…」
 僕の知り合い、だろうか。
 糸が切れたようにポロポロと涙を流す彼に、どくん、と心臓が脈を打った。
 でもそれは一瞬で、次のときには申し訳なさで胸が一杯だった。
「…優?」
 僕の異変を感じたらしい彼が震える声で僕の名前を呼ぶ。さっき医者に教えてもらったばかりの名前。
 ごめんなさい、記憶喪失で、と紡ぎかけて、唇が震えていることに気がつく。
 そして、僕の頬が濡れてることに気がつく。
「…あ、れ…?」
 僕は…なんで泣いてる…?
「…優、もしかして、俺のことわかんない…?」
 混乱するなか、小さく頷いた。
 涙は止まない。
「…そっか、じゃあ、はじめましてだ」
 ああ、知ってる。
 この頭の回転の速さ。
 僕がなんで泣いているのかすら分かっているんだろうなって思わせてくるこの空気感。
 彼のことは分からないはずなのに、なぜか、なんでか、また会えた、と脳のどこかで呟きが木霊する。
 震える唇のまま言葉を紡いだ。
「はじめ、まして」


はじめまして 創優 #203

3/31/2025, 6:16:13 PM

「またね」
 先輩はそう言って儚げに笑ってみせたんだ。


 桜を見上げていたらぶわっと一瞬にして鮮明に流れ込んできた記憶に目を細める。
 …先輩、今年も会いに来ましたよ。
 俺ね、先輩。
 先輩はもうどこにもいないって事実を突きつけられても不思議と涙が出てくることはなかったんです。
 あんなに先輩の前だとぴぎゃんぴぎゃん泣いてたのに。
 いざその時になるとびっくりするほど涙出なくて、自分がわけわかんなくて、一時期めっちゃぐちゃぐちゃだったんですよ。
 …あ、待って。今のなし。
 俺がぐちゃぐちゃだったって知られたら怒られそう。
 ちゃんと寝てはいたから、許して。
 え?ご飯もちゃんと食べろって?あはは、ごめんなさーい。
 …って、そうじゃなくて。
 やっと分かったんです。
 なんで俺が泣けなかったのか。
 多分俺、先輩がどこにもいないっていう事実を上手に受け止めきれてなかったんです。
 この前、いろいろなことがあって無意識に先輩を探してる自分に気づきました。
 そしたらこの前やっと受け入れたみたいで、泣いちゃって。それはもうぐちょぐちょに。
 そう言われれば、ちょっと声掠れてるって?ごめんなさい、そのせいです。

 
 桜舞う、先輩のお墓の前、どれくらいそうしていただろう。
 目を開けるとかなり時間が経っていたようだった。 


 ふわり。桜が舞う。
「じゃあ…またね、せんぱい」
 春風が冷たい雫を一筋、俺の頬から攫っていった。


またね! 春風とともに 涙 #202

3/30/2025, 11:03:15 AM

やばい。
推しとハイタッチしてしまった。
片手を出してくれてる推しのとなりを駆け抜けてしまった。
いや、ハイタッチはしたよ。したけども。
「ありがとうございます」って言われて、「へあ、ありがとうございます…」って返してしまった…。
あの一瞬で幸せで満たされた心はどうしろと。
もう一生の悔いなし、って思ったけど五月にライブあるんでした。それを心の支えに生きてきます。

ありがとうございました…!

3/29/2025, 6:51:36 AM

 小さな幸せは、俺の手によって果てしない幸福へと姿を変えていく。
「おにーたっ」
 可哀想な子。
 とてとてと覚束ない足取りで近寄ってきた弟は、俺の足がゴールとでもいうように俺の足に飛びついて、ぱっと表情を明るくさせた。
「…うん、お兄ちゃんだよ、どしたの?」
「あの、あのね、えっと…」
 まるで言ってはだめ、と囁かれているようにびくびく怯えては、真白い服をきゅっと掴んでいた。
「…またお母さん?」
「っ…!」
 優しく声を発すると、びくっと肩が跳ねる。
 赤く腫れた頬に、赤黒く滲んだ唇。
 その青白くて細い腕には、無数の痣が残っていた。
「お、おかーさんは、悪くなくて…っ。ぼくが悪い子だから…っ」
「…でも痛いんでしょ?」
 小さくこくりと頷く可哀想な子をそっと抱き上げる。
「お兄ちゃんはいつでも味方だからね。何かあったらすぐに言うんだよ?」
「…うん、」
 俺以外は敵で、俺が一筋の光のような真っ暗な世界。
 この子が見えているのはそんな世界。
 俺はそこから出すつもりなんてない。

 俺という存在である小さな幸せが、この子にとってのすべてになるまで。


小さな幸せ #201

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