それはまるでコップのよう。
小さい頃から愛をたくさんたくさん注がれると、大きくなってからコップの半分まで注がれても、ちょっとしか、という思考にしかならない。
逆に小さいうちから愛が注がれなかった子どもは、大きくなって半分まで注がれると、こんなにも、という思考になる。
今苦しんでいる人はいつか誰よりも強くなれるよ的な言葉をよくきくけどさ。
それって、小さいころから愛を受けなかった子どもは大きくなってから受け取る愛の捉え方が違うだけじゃんね。
我慢してた痛みのせいで大きくなってもそれなりの痛みは感じにくくなってるだけじゃんね。
受け取る愛の量は、我慢している痛みの量は、ぜんぜん違うんだよ。
正直、小さいころから溢れんばかりの愛を受け取った子どもを、我慢が少なかった子どもを、羨ましいって思っちゃうんだよね。
─愛を注いで─ #139
(自分の誕生日に推しの新曲が上がってるなんて。新曲最高すぎたし。結構嫌いな日だったけど今年だけはどこか違う1日になった。ありがとう。
ちなみに、ひとりさびしくチョコパイかじりました)
「先輩が考えていること、わかんな...」
一人言のつもりだった。そしてそれは“つもり”で終わった。
「あ、なつめくんじゃん。やっほ」
「...うわ」
さいあく。ぜったい聞かれてた。
...まあ、先輩を待っていなかったと言ったら嘘になるから、たぶん俺も先輩に聞かれる可能性は考えていたのだろう。その上で俺は一人言を放ったのかもしれない。
最近は自分が考えることすらわからなくなっていた。解けそうにない矛盾の糸が絡み合ったまま答えがでないでいる。...うそ、ほんとは心のどこかで分かっているのに明確に答えを出すのが怖いだけ。
「なーつめくん、テストできた?」
当たり前のように俺のとなりの席を陣取った先輩を一瞥する。ぱちっと視線がぶつかって冷静を装い、視線を下げる。教室には俺と先輩以外いなかった。
「まあまあです。先輩が教えてくれたとこピンポイントで出て感心通り越して不正疑いかけました」
「え、まじ?出たんだ。よかったぁ、あんな教えといてひとつもでなかったらどうしよって思ったりしてたんだよね実は」
ふわりとはにかんだ先輩に心臓が脈を吐いた。
...あ、いま先輩の心に触れられてる。作られた先輩じゃない。ふいに思った。
─心と心─ #138
(推し作家様が新作公開してくださっていた…!さっきまで生きる気力が奈落だったのが嘘みたいだ)
仲間ってなんだっけ。
分かんなくなっちなったよもう。
何も思い付かないや。
─仲間─ #137
「「せぇの」」
小さく笑い合う。
僕らにとっては唯一の希望である、闇夜にふたり、駆け降りてゆく。
繋いだ手は最期まで離さなかった。
─手を繋いで─ #136
「こんな俺を受け入れてくれてありがとう。...ごめんね」
「えっ、───...っ」
どきっとした。
彼の瞳がまた死んでいた。夜の暗闇で塗りつぶされたかのような瞳だった。
彼の表情は出会ったころと同じ、なんの感情も読み取れない氷色だった。
「...っ、」
カラダが固まってしまったおれを貫いたのは焼けるような痛み。とっさにぐっと唇を噛んだ。
「な、なんで...っ、」
突き刺された腹の痛みよりも心臓の痛みに苦しめられる。
ああ、その程度だったんだね。
お前のなかでのおれは、その程度だったんだ。
簡単に刺せるくらいには、殺せるくらいには。
じわりと涙が浮かぶ。
相棒だと思っていたのは、おれだけだったのか。
「おれのほうこそ、ありが、と。ごめんな...」
暗い微睡みのなか、最後に彼の耳元でつぶやいて、彼にもたれかかるように力尽きた。
「...なんでお前が感謝して謝ってんだよ、...まじで、さぁ」
─ありがとう、ごめんね─ #135
(最近、生きているのほんとにつらくなってきたかも。ここを書くためだけに日常をこなしているって感じ)