「「せぇの」」
小さく笑い合う。
僕らにとっては唯一の希望である、闇夜にふたり、駆け降りてゆく。
繋いだ手は最期まで離さなかった。
─手を繋いで─ #136
「こんな俺を受け入れてくれてありがとう。...ごめんね」
「えっ、───...っ」
どきっとした。
彼の瞳がまた死んでいた。夜の暗闇で塗りつぶされたかのような瞳だった。
彼の表情は出会ったころと同じ、なんの感情も読み取れない氷色だった。
「...っ、」
カラダが固まってしまったおれを貫いたのは焼けるような痛み。とっさにぐっと唇を噛んだ。
「な、なんで...っ、」
突き刺された腹の痛みよりも心臓の痛みに苦しめられる。
ああ、その程度だったんだね。
お前のなかでのおれは、その程度だったんだ。
簡単に刺せるくらいには、殺せるくらいには。
じわりと涙が浮かぶ。
相棒だと思っていたのは、おれだけだったのか。
「おれのほうこそ、ありが、と。ごめんな...」
暗い微睡みのなか、最後に彼の耳元でつぶやいて、彼にもたれかかるように力尽きた。
「...なんでお前が感謝して謝ってんだよ、...まじで、さぁ」
─ありがとう、ごめんね─ #135
(最近、生きているのほんとにつらくなってきたかも。ここを書くためだけに日常をこなしているって感じ)
「……すき、だなぁ」
今日も部屋の片隅で闇に溶けて、堕落した一時を過ごす。
明日も朝早いんだ。だから早く寝ないといけないのに。いつから涙が頬を伝っていたんだろう。
手のひらで目元を拭う。決して綺麗ではない泥沼のような感情が吐いても吐いても止めどない。
もう口癖になってしまった言葉を息をするように吐き出す。
「ああ...しにたい」
─部屋の片隅で─ #134
(共依存とかの激重系が大好物です(重い過去など背負っていると尚良し)。その割には自分では書けなくて苦戦してます)
「別れよっか」
「...わかった」
“さりげなく放って、なんの抵抗もなく受け入れられた別れに”
“なにも考えられないまま受け入れてしまった、さりげなく放たれた別れに”
““ああ、真っ逆さまにおちてゆく””
─逆さま─ #133
眠りにつけないほど俺のことが心配だったらしい。
朝起きたら、枕元に浮かんでいたのは、半透明の恋人の姿。
安心しろって、と声をかける。俺もすぐそっちにいくから。
─眠れないほど─ #132
(半透明の恋人くんは自分の後を追いかけてくることを心配していたのではないかと思ったり)