27(ツナ)

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3/14/2026, 10:47:50 AM

安らかな瞳

気難しくて誰にでも厳しくて、いつも不満げだった。
父のそんな所が嫌いで、私は早く実家を出た。
そんな父の元に気が弱くて病弱な母を残して、
私が家を出て間もなく母は持病が悪化して呆気なく亡くなってしまった。
母は、私が殺したも同然。

それから間もなく父も体を壊して入院していると聞いた。けれど、私は父との面会へ行くことはなかった。
言ったことろで、どうせ罵倒されるのは目に見えていたから。
面倒は事情をわかっている親戚が見てくれた。
入院してしばらく経ったある日、親戚から「そろそろ本当に危ないから、1度だけでいいから顔を見せて」と催促があって、渋々行くことにした。

久しぶりに見た父は私の知っている頃とはまるで変わってしまった。
チューブに繋がれて痛々しくこけた頬、骨と皮だけのような腕、声もしわがれて聞くに絶えない。
あまりの姿に目を背けたくなって、病室を出ようとした。
「…来て、くれたのか…。」
目も見えているのか分からないし、私を認識しているのかも分からない、けど声をかけられて私は立ち止まった。
「…私の事なんかわかんないでしょ?」
「俺の…大事な娘だ。来てくれて、ありがとう…。」
まるで、それを言うためだけに生きていたみたいに、言い終えた瞬間心電図から『ピ───』と無機質な音が響いた。
私はずっと、父に背を向けていたが振り返って見た父は今まで見たこともないほど安らかな瞳をしていた。

3/13/2026, 11:30:30 AM

ずっと隣で

君とは授業でたまたま隣の席になった。
君はスラッとしてて物静かでかっこいい。
もちろん彼女がいるのは知ってたから、ただの同級生として一線を引いて接していた。

ある日の授業で席替えすることになって君の隣じゃなくなった。
私は少し寂しかった。

それから間もなくしてまた席替えをすることになって、また私と君は隣同士になった。
「なんか、落ち着くね。ずっと隣だったから。」
不意に君はそんな事を言う。
ダメだとわかっているのに。
彼女がいるのを知っているのに。
ふつふつと顔が熱くなっていくのを感じて、鼓動も早くなった。

3/12/2026, 11:22:48 AM

もっと知りたい

「あなたのこともっと知りたい。」
ほとんど関わりがない、ただのクラスメイトだと思っていた女の子から、声をかけられた。
いつもクラスの中心で、一軍のグループにいるキラキラしてる彼女。
対して私はどんなカーストにも属さない、というかそういうのに興味がなかったから一人でいるのも気楽だった。
たまたま、彼女と掃除の班が一緒になって色々会話をするようになった。
「休日は何してるの?」「好きな食べ物は?」「趣味とか好きな物は?」「好きな人とかいる?」「」
彼女の質問攻めに私は困惑して「内緒。」「秘密。」としか答えられなかった。

きっと、つまんない奴とか変人だと思われるだろうな。けど、彼女はそれ以来私に懐くようになった。
「な、なんでそんなに質問してくるの?」
「え?それは、あなたのこともっと知りたいから。だよ?」
不覚にも、そのセリフにちょっとキュンとした。

3/11/2026, 10:22:52 AM

平穏な日常

『人生 山あり谷あり』という言葉がある。

朝から晩まで特に何もなく、ただゆったり平穏な1日を過ごせた時、私は幸せな気持ちに反して
無性に不安に駆られる。
今日こんなに穏やかに過ごせたから明日は嫌なことがあるかも、と。

そんな怖がりな私とは正反対な友達。
彼女は「そんなのは退屈だ。」と笑った。

ふたり並んでカフェで美味しいものを食べて楽しい話を何時間もする。
きっとこの楽しい時間の反動もいずれくる。
でも彼女といれば、なんか大丈夫かもって思える。


3/10/2026, 10:46:10 AM

愛と平和

大きな愛は要らない。
この手に乗るくらいのささやかな愛で充分。
永遠の安泰は要らない。
あまり代わり映えのしない穏やかな平和で充分。

愛と平和。

多くは望まない。
ただ、ささやかな愛と穏やかな平和があれば、毎日幸せだ。

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