27(ツナ)

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1/24/2026, 11:25:17 AM

逆光

散々殴られて蹴られて、意識は遠のいていった。
むしゃくしゃしてたのか、今日は一段と酷い。
路地の隙間からは落ちかけた夕陽が赤黒く輝いていた。
眩しさと痛みで目が霞んでよく見えない。
ふと、路地に誰かが入って来た。
「おいおい、何してんねん寄って集って。しょうもないことして遊んでんと、ガキは早よ家帰って勉強でもしとけや。そうせんと……殺したるぞ。」
明るくおちゃらけた声から急に殺気を込めた声色に変わって、その場の空気もピンと張り詰めた。
僕を殴っていた奴らは、その人の殺気に完全に飲みこまれ腰を抜かして情けなく逃げていった。

僕もその人の殺気に金縛りにあったように動けなくなる。
ひと目だけでも顔を見ようと、あちこち痛む体を何とか起こすと、スーツに身を包みタバコを咥えて鋭い目で僕を見下ろす赤黒い逆光を浴びた男が立っていた。
逆光のせいで全身が返り血で真っ赤に染ったように見えて、僕はお礼の言葉も言えずただ見上げることしかできなかった。
僕を一瞥すると、その人は逆光を背に真っ黒い路地の中へ消えていった。

1/23/2026, 11:20:13 AM

こんな夢を見た
(※1/22 「タイムマシーン」の続きの話)

「─っていう夢を見たんだ。」
きっと、彼女なら笑って聞いてくれると思ったのに反応は違った。
目をまん丸にしてまるで驚いているようだった。
「あーえっと〜…面白く、なかったよね?」
「あ!えっと、違う。その…変なこと聞くけど、前にも…この話って私に話した?」
「え?…な、なんで?覚えてるの?」
彼女の言葉に僕は動揺を隠せなかった。
「ん〜?覚えてるって言うか、あれは…夢、なのかな?同じ場所で同じ服装で君が今と同じ話をしたの。タイムマシーン使ったけど未来を変えられなかったって。」
僕がタイムマシーンを使った別の時間軸の記憶が、どういうわけか彼女の夢に現れた。
「ほ、他には?他になんか不思議な夢は見た?」
「え?うーん…。そういえば、私が外?に倒れてて、君が私を抱きかかえて泣いてた、すごく。私は体が全然動かなくて君を慰めることもできなくて。辛くて悲しい夢。」
確信した。
彼女は別の時間軸で起きた出来事を夢として見ていた。
そして、思い知った。
やはり何度タイムマシーンを使っても、この後、起こる彼女の死は回避できないということを。

1/22/2026, 11:00:29 AM

タイムマシーン

今まではタイムマシーンが使えるならあの頃に戻ってやり直したいとか、あの時のことを無しにしたいとか、色んな事を空想していた。

でも実際に、タイムマシーンを使ってわかった。
未来を変えることはできないって、いくら別の方向、良い方向に治そうとしても、結果は同じだった。
何回も何回も何回も試した。

タイムマシーンは結局、過去や未来へ行き、そこで起きた事を鑑賞することしかできない。
手を出そうとすれば干渉と見なされて、強制的に元の出来事へ収束する。

そうして、僕はタイムマシーンを使うのを辞めた。

1/21/2026, 10:53:23 AM

特別な夜

ジャケットを脱ぎ捨てる。
ネクタイを解いてシャツのボタンを2、3個はずすと、一気に呼吸が楽になる。
冷蔵から作り置きしていた、酒の肴とビールを取り出してそのままソファへ倒れ込む。

テレビもつけないで、無音の部屋でビール缶に手を伸ばし『プシュッ!!』と耳心地の良い音を立てて開ける。
ゴクッと飲むと、のどごしと旨みが体中に染み渡るのを感じる。
開けっ放しのカーテンからは満月が見えた。
「はぁ…これぞ、特別な夜だな。」
思わず満月に向かって乾杯した。

1/20/2026, 11:00:05 AM

海の底

「海の底のその先って、何があるんだろうね?」
ふたりで海を眺めていた時、君が海を見つめながら真剣な顔をして言う。
「底は底だから、それより下はないんじゃない?行き止まり。」
「…わたし、夢で見たの。」
急に話が変わって僕はついて行くのにやっとだった。
「夢?海の底の夢でも見たの?」
「そう。海の底、のその先。」
「夢の中だと、何があったの?」
「…私たちみたいな人間が住んでた。お店とかビルもあって、こっちと何も変わらない、街。」
「へ、へぇ〜面白い夢だね。本当に海底の先に都市があったら凄いよね!」
いつもと違う様子に僕はソワソワしながらも、君に笑いかける。
だけど君は虚ろな目でずっと海を見ていた。
「わたしね、その夢がずーっと頭から離れなくて。……確かめてみようと思う。」
そう言うと、君はまだ寒い1月の海の中へ落ちていった。
綺麗に真下に落下して、本当に海の底の先にある場所へ行ってしまった。

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