27(ツナ)

Open App
4/18/2026, 10:55:56 AM

無色の世界

何もかもが透き通る無色透明。
人や物だけじゃない、思考や業、犯した罪さえも。
悪いことをすればいつかはバレる。
現代の監視社会ならば尚更。

誰かが僕を監視する、そんな僕も誰かを監視している。
お互い疑心暗鬼の中で生きて、罪を犯せば全てが筒抜けになり、躊躇なく世間へ晒される。
私たちが今生きているこの世界こそ、無色の世界なのかもしれない。

無色透明は綺麗なだけじゃない、それは汚いものをより鮮明に汚く映し出す鏡のようなものだ。

4/17/2026, 10:59:16 AM

桜散る

「桜は散り際が一番美しい。」 
桜よりも綺麗な笑顔で君は僕にそう言った。
あの時見た散り際の桜は確かに今まで見たどんな桜よりも美しかった。

「来年も桜が咲いたら、散り際を一緒に観よう。約束だよ?」 
来年も、なんて。君を僕の元に留めておくためにそんな約束を交わす。
「うん!約束。」
君は頬を桜色に染めてそんな僕の口約束に嬉しそうに返事した。
約束事があれば少しでも君の生きる気力になると思っていた、けどやはり病には敵わなかった。

今、僕は独りで散り際の桜を眺めている。
約束は、守れなかった。
桜の花弁が落ちると僕の目からも涙が落ちた。

4/16/2026, 10:48:21 AM

夢見る心

一体いつからこんなにも想像力が乏しくなってしまったんだろう。
大人になってそんなことを思う日々が増えた。
音楽を聞いても映画を見ても本を読んでも、吸収はするが自分からは何も出ない。
もどかしくて堪らなくて、色々空想してみても、やっぱり何も出てこない。

子供の頃は想像力がどこからともなく湧き上がってきたのに。
あの頃は、なんだかいつでも夢の中にいるみたいに、見えるもの聞こえるもの全部が新鮮で。

あぁ、そうか。私は大人になって現実に"慣れ"ちゃったんだ。だから、子供の頃の夢見る心がいつの間にか現実を見る心に変わってしまったんだ。
大人になるってこういう事なんだ。

4/15/2026, 11:14:29 AM

届かぬ想い

暇ができて立ち寄った活動写真でひとりのある女性に一目惚れした。
その女性はスクリーンの中で素敵な笑顔を見せ、軽やかに踊る。あまりにも美しく可愛らしい彼女は僕の胸を打った。
彼女は女優。僕はただの書生。あまりにも身分が違いすぎる。
きっと出会っても、この想いを伝えることなんてできないだろう。

僕にできることといえば、彼女が出演する活動写真に足しげく通うことぐらいだ。
今日は活動に人が少なく僕を含めて片手で数える程しかいない。
一席開けて隣にひとりの女性客が座る。
今日も今日とて彼女の活動写真を見ては、ひとりスクリーンに向かっ待て心からの拍手する。
「…もし。貴方、この活動写真がお好きなの?」

隣に座っていた女性に突然声をかけられた。
「え!あ、はい。内容と言うよりかは女優さんに一目惚れ…でして。ははは。お恥ずかしい。」
少し恥ずかしくて頭を掻きながら返事すると、僕の目の前にはついさっきまでスクリーンの中にいたはずの彼女が居た。
「あら、それは素敵。私は嬉しいです。また、活動写真見に来てくださいな。」


4/14/2026, 11:09:49 AM

神様へ

まさか自分が18で死ぬなんて思ってもなかった。
あぁーまだたくさん恋したかったな〜。
だんだん目がぼやけてきて「あ、ほんとに死ぬんだな」って実感湧いてきて辛い。
「神様へ、どうか次生まれ変わったらモデルみたいに超絶美人でモテモテでめっちゃ恋愛を楽しめる人生にしてください。」そう心の中で願った。
最後に自分の可愛いネイルを見て死にたくて力を振り絞って顔の前に自分の手をかざした時、誰かにギュッと手を握られた。
ぼんやりする目でよーく見るとイケメンがいた。
「えまって。……めっちゃイケメン。え、うそ。なに?だれ?どゆこと?」
「君、この世に未練はある?」
「み、れん?…あるよ。もっともっともーっと恋愛したかった。」
「お!そりゃ、ちょうどいいな。俺は大国主命(おおくにぬしのみこと)恋愛を成就させる神なんだが、今ちょうど補佐を一人探していてな、君、どうだ?俺の補佐をやってみないか?」
意識が朦朧としてて、正直何言ってるかわかんなかったけど、私はイケメンにつられて安請け合いした。
「え、何それ最高じゃん。…よろしく。」
「ん。採用!」
イケメンは私の手を強く握りしめて笑った。
まさか、神様の仕事があんなにキツイなんて、この時の私は知る由もなかったんだ。

Next