どこにも書けないこと
実家の蔵を掃除してたらコロコロ何か転がってきた。手に取ると、それは古めかしい巻物だった。
うちは一応昔から続く名のある家らしく、歴史とか家系図みたいなやつかなと思ったが、
表紙に『禁忌』と書いてあった。
一体どんな禁忌が書かれているのかと恐る恐る中身を見てみると…そこには、
多くの女性の名前と年齢、その女性に使った金額、詳細メモがびっしりと書かれていた。
昔、祖母が祖父に対して「この男はとんでもない浮気者だ。」と言っていたのを思い出した。
それも浮気相手は20人を超えるとか…冗談だと思っていたが、今孫の私の目の前にその事実が顕にされた。
時計の針
君と僕は時計の針だ。
くっついたり離れたり。
たとえ遠く離れてもまた出会う。
僕は珍しく前世や前前世その前の記憶すら覚えていた。
どの人生でも僕は必ず君と出会う。
君が花だった時、僕は蝶で。
僕が猫だった時、君は飼い主で。
君が男で僕が女の時も。
形も出会い方も様々だけど、離れても必ず君と出会う。
僕らは時計の針。
これからの別の人生でもきっと僕は君と重なり合う。
溢れる気持ち
(※2/4 「Kiss」より別視点のお話し)
幼なじみは同い歳で周りの女の子と違くて男勝りな性格の子だった。
そんなサバサバした性格ゆえ、あの子の周りにはいつも男子がいた。
俺はずっとヒヤヒヤしていた。
いつか、誰かに取られるんじゃないかって。
幼なじみだからこそこの想いは簡単には伝えられない。
高校生になった頃、「そろそろ彼女でも作れ」と唐突に彼女に言われた。
なぜか俯いてしまった彼女の事が気になって近寄ると不意に上を向くから目が合った。
彼女の目には涙が見えて俺は困惑した。
そして、反射的に
「盾とか冗談とかじゃなくて…正式に付き合うのはどう?」
口走ってしまった。
彼女は俺よりも動揺した様子で口をパクパクさせるから思わず笑って、この溢れてどうしよもない気持ちを彼女の額に寄せた。
Kiss
幼なじみは同い歳だけど嫌に大人びた子だった。特に女の子の扱いが上手くて、みんなあいつのことが好きになる。
私だって、好きだった。
幼なじみだからこそ余計に近くて、遠く感じる。
高校生になった頃、あまりにもモテるから
「ねぇ、そろそろ彼女でも作って落ち着いたら?…めぼしい子いないなら、私の事、盾に使ってもいいし。……な、なーんて。」
ついついこぼれてしまった。
私は恥ずかしくてあいつの顔を見れなくて俯いた。
「そうだな。…でも、お前を盾に使うなんてできないよ。」
やっぱり、気になってる子はいるんだな。嫌なのに目から涙がこぼれそうになって上を向いた。
あいつが私の目の前に立って上から眺めていてバチッと目が合ってしまった。
「盾とか冗談とかじゃなくて…正式に付き合うのはどう?」
「え!えぇ!あ、え!?いいの!?え!」
あいつはクスリと笑って私の頬を優しく包むと額にキスした。
1000年先も
「家の庭にある桜の木。あれは俺が産まれた時にはもう既に綺麗な花を咲かせていた。
俺が死んだ後も、この家とこの桜の木をどうか、守り続けてくれ。」
亡き父の遺言通り僕はこの家とこの桜の木を継いだ。まだ100年にも満たないけれど、僕は息子に同じように話してこの家とこの桜の木を継いでいく。
そして、1000年先の未来でもこの桜が変わらず咲き誇ることを祈って僕は永遠の眠りについた。