「未来図」
子供の頃は視野が広かった。
未来への展望が次から次に溢れてきて、色とりどりの未来図を描いた。
年齢を重ねていくうちに、その視野はだんだん狭くなって、自らの力では未来を描くことができなくなった。
周りに歩調を合わせて顔色を伺いながら、列からはみ出さないよう気を使って、言いたい事やりたい事を我慢して。
子供の頃、あんなにカラフルだった未来図は今や色褪せて、満員電車に揺られる日々。
「こんな未来図、描いたつもりなかったんだけどな。」
そんな色褪せた俺の人生に、突然、君が現れた。
君の存在は俺に新しい未来図を描かせてくれた。
1人で描けない未来も、2人でなら描くことができる。
「ひとひら」
人は満開の桜に美しいと心を惹かれる。
私は、桜は散り際こそ1番美しいと感じる。
桜の花びらが散る光景は圧巻だ。
まるで桜の雨。手を差し出すと、手のひらにひとひらの桜が降ってくる。
「風景」
ある風景を見て「あれ、この景色前にも見たことがあるような」と思うことがある。
俗に言うデジャブだ。
私は非科学的なことが好きな質で、パラレルワールドというものを信じている。
デジャブはきっと、別の世界線の自分が見た映像の記憶の断片が同じ風景を見ることで刺激されて見たことがあるように感じているのではないかと考える。
風景を通して別の世界線を生きる自分自身と繋がっているのかもしれないと思うと、気持ちが高揚する。
「君と僕」
君と僕は宇宙人と地球人だ。
君は犬が好きで、僕は猫が好き。
君は夏が好きで、僕は冬が好き。
君は辛いものが好きで、僕は甘いものが好き。
正反対だけど、お互いを尊重して共存している。
僕と違いすぎるから、君に興味が湧いて、もっと君のことが知りたくなる。
まるで宇宙との交信だ。
「夢へ!」
夢の続きが見たい時、「夢へ!」と言って目を瞑ると夢のつづきが見れる。
大好きな両親が寝ている間に誰かに殺害される恐ろしい夢をみた。妙に現実的で汗びっしょりで目が覚めた。
急いで両親の寝室に向かうと、夢と同じ光景が広がっていた。
あまりに惨い光景にその場にくずおれる。
ギュッと目を瞑って、何度も叫ぶ。
「夢へ!夢へ!夢へ!夢へ!……。」
これは、現実だ。
「…っていう夢を見たんだよね。まぁ、殺したの私なんだけど。」
刑務所の面会室のアクリル板越しに、平然とそう告げた彼女の顔は今でも時々、夢に出てくる。