「元気かな」
お散歩中におしゃべりしたとっても元気で気さくなお爺さん。
旅行に来て困っているところを助けてあげた外国の観光客。
落とした財布を走って届けてくれた親切なお姉さん。
電車で寝過ごしてパニックになっている所を助けてあげた女の子。
無言で唐揚げをサービスしてくれた少し照れ屋な屋台の男の子。
電車で席を譲ってくれた見ず知らずの心優しい外国の人。
アルバイト先で「いつも頑張ってるね!」と褒めてくれた笑顔が素敵なお客さん。
挨拶するといつも変わらない優しい笑顔で「おはよう、今日も頑張れよ」と応援してくれた土方のおじさん。
陽気な歌を歌ってみんなを明るくしてくれた気のいいバスの運転手。
家族や友達ではない、赤の他人だけど助け合ったたくさんの人達がいる。
人生の中で、ほんのちょっとしか関わらなかったけれど、ふと「元気でいるかな?」と思い出す。
「遠い約束」
メッセージボトルというものを知っているだろうか?
10年前の初夏の頃、浜辺を散歩していると太陽の光が反射してキラキラ光る瓶を見つけた。
拾ってみると、外国のお酒の瓶の中に数枚のコインとメッセージが書かれた紙が入っていた。
858-xxxx-xxxx.
Hi! Nice to meet you, the person who received this letter. I'm Olivia, I'm waiting for your contact!!
(こんにちは! この手紙を受け取った人、はじめまして。私はオリビア、あなたの連絡待ってます!!)
僕はこんなの初めてで、かなり警戒していた。だが、好奇心には勝てず恐る恐る電話番号に連絡してみることにした。
無事にオリビアさんにつながり、お互い慣れない言葉でたどたどしく話す。
「ワタシ、ニホンいく。It's a promise! Wait for me. マテテね。」
お互いカタコトながらも、意気投合して彼女が日本に会いに来ることになった。
アメリカと日本、約10,000kmの遠い約束。
そうして、遠い約束を運んでくれたメッセージボトルは僕たちを繋げてくれた。
彼女は今でも僕の隣で明るく笑っている。
「フラワー」
花の命は短い、花屋にある切り花はもっとだ。
それでも人は誰かに花を贈る。
いつか必ず枯れるからこそ、咲き誇る花は凛として美しい。
いつか必ず亡くなるからこそ、ヒトの命は儚く美しい。
人間と花の一生は似ている。
だからこそ人は誰かに花を贈る。
「新しい地図」
久しぶりに友達と遠出をすることになった。
車のカーナビの更新を忘れて出かけてしまい、山奥の分かれ道で迷った。
携帯の電波も圏外で繋がらず、右か左か迷う。
とりあえず、直感で右へ、全く舗装されていないケモノ道を恐る恐る進んでいく。
広い野原が広がった。色とりどりの草花が咲き、まるで絵の中のような景色と出会えた。
「旅に危険はつきものだな。でも、危険の先には絶景が待ってることもあるのか。」
感慨深く景色を眺めながら呟いた。
「伊能忠敬が日本地図を作った時もこんな感じだったのかな?日本の色んな絶景に出会ったんだろうな。羨ましい〜。」
友達が 少しからかうように笑って応えた。
「好きだよ」
「好きだよ。」
「私のこと好き?」って君に聞かれたから答えただけなのに、君は悲しそうな顔をした。
どうしてそんなこと聞いて、そんな態度とるんだろう?もしかして、浮気バレた?
機嫌を取るために、もう1回言ってあげた。
「好きだよ。」
今度は思い切り頬をぶたれた。
"好き"ってよくわかんねぇ。