27(ツナ)

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3/29/2025, 11:30:42 AM

「涙」

1年、思いを寄せていた人にフラれた。
告白したら。「そんなつもりなかった。ごめん。」と、私は彼にとって友達でしかなかったらしい。

フラれた時あまりの衝撃で涙なんて出なかった。ただ寂しくて、学生時代からの親友にダメ元で連絡すると、直ぐに明日会おうと返事が来た。

「今日はありがとう…。99%いけると思ったけどダメだった。」
「そっか。」
「てか突然連絡したのに、なんで予定空けてくれたの?」

「え?そんなの当たり前じゃん。何よりもあんたが大切だから。嫌いだったりどうでも良かったら時間作って会わないでしょ。……って、ちょっと!大丈夫??」

なんて事ない台詞だったけど、親友のその言葉を聞いて決壊したように涙がぶわっと溢れだした。
そして、本当に私の好きな人がわかった。

3/28/2025, 11:16:53 AM

「小さな幸せ」

"幸せ" の定義は人それぞれで大きさも人それぞれだと思う。
ただ、幸せを享受しすぎると周りに沢山ある小さな幸せを見落としてしまうだろう。

「信号が全部青だった。」
「買い物のお釣りがゾロ目だった。」
「今日も一日楽しく過ごせた。」

日常の沢山の小さな幸せを見つけられる、そんな人こそ真に幸せな人だと思う。

3/27/2025, 11:11:24 AM

「春爛漫」

幼い頃、両親は私をよく遊びに連れていってくれる人だった。
辺りが桜色に染まった春爛漫の公園にはよく連れて行ってもらった。
父は公園に行くと、いつも私にソフトクリームを買い与えた。見かねた母は「太るからやめて」といつも困っていた。
私はその様子がとても微笑ましかった。

そんな私も20歳の誕生日を迎え、お酒が飲める歳になった。
相変わらず、桜が咲くと公園に行っていた。
昔と変わったことは、私の手にある物がソフトクリームからお酒に変わり、昼間の桜から神秘的な夜桜に変わったことくらいだ。

だが、これが大人の贅沢な春爛漫の楽しみ方。

3/26/2025, 10:51:36 AM

「七色」

ブラック企業に務めてはや3年…
さすがにもう色々と限界が来て、有給を使って1週間程、実家に帰ることにした。
あまりにもやつれた俺の様子に両親は言葉を失った。

久しぶりに自室に行くと、綺麗に掃除がされ昔のままで保管されていた。
何気なく机の引出しを開けると、1冊のスケッチブックがでてきた。だいぶ昔、俺がまだ保育園児の時に使っていたものだった。
パラパラと中をめくって見ていると用紙いっぱいに塗られた七色が目に入った。
赤、橙色、黄、緑、水色、青、紫。

その絵を見た瞬間、自分の中で何かが切れた。
小さい頃は雨上がりの虹のようにただ純粋に、色んな色になれる明るい未来に目を輝かせていたな。

俺は無意識に会社に電話をかけていた。
「仕事、辞めさせてもらいます。今までお世話になりました。」
もう一度、七色の未来を信じてみようかな。

3/25/2025, 11:10:45 AM

「記憶」

「あぁ、驚いたよ。まさか、こんな街で偶然にも息子に再会できるなんて。」
「父…さん…?」

僕は幼い頃の記憶が曖昧だ。母親曰く、よく転ぶ子供で、ある日階段から落ちて、しばらく記憶喪失になり入院していたらしい。

記憶を無くした後もう既に父親という存在はいなかった。母も父親については濁すばかりで何も教えて貰えなかった。記憶喪失が治ったあとも父のことだけは少しも思い出すことが出来なかった。

そうして時が経ち、社会人になり会社の転勤で地方の片田舎に移住することになった。その街で偶然にも父を名乗る男と出会った。
その男の顔を見た瞬間、頭の中のモヤがパッと晴れ当時の出来事をあまりにも鮮明に思い出す。
激しく身震いし動悸と吐き気が止まらなくなった。

「そうだ、僕は…こいつに、虐待されてたんだ。」

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