27(ツナ)

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「記憶」

「あぁ、驚いたよ。まさか、こんな街で偶然にも息子に再会できるなんて。」
「父…さん…?」

僕は幼い頃の記憶が曖昧だ。母親曰く、よく転ぶ子供で、ある日階段から落ちて、しばらく記憶喪失になり入院していたらしい。

記憶を無くした後もう既に父親という存在はいなかった。母も父親については濁すばかりで何も教えて貰えなかった。記憶喪失が治ったあとも父のことだけは少しも思い出すことが出来なかった。

そうして時が経ち、社会人になり会社の転勤で地方の片田舎に移住することになった。その街で偶然にも父を名乗る男と出会った。
その男の顔を見た瞬間、頭の中のモヤがパッと晴れ当時の出来事をあまりにも鮮明に思い出す。
激しく身震いし動悸と吐き気が止まらなくなった。

「そうだ、僕は…こいつに、虐待されてたんだ。」

3/25/2025, 11:10:45 AM