27(ツナ)

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「七色」

ブラック企業に務めてはや3年…
さすがにもう色々と限界が来て、有給を使って1週間程、実家に帰ることにした。
あまりにもやつれた俺の様子に両親は言葉を失った。

久しぶりに自室に行くと、綺麗に掃除がされ昔のままで保管されていた。
何気なく机の引出しを開けると、1冊のスケッチブックがでてきた。だいぶ昔、俺がまだ保育園児の時に使っていたものだった。
パラパラと中をめくって見ていると用紙いっぱいに塗られた七色が目に入った。
赤、橙色、黄、緑、水色、青、紫。

その絵を見た瞬間、自分の中で何かが切れた。
小さい頃は雨上がりの虹のようにただ純粋に、色んな色になれる明るい未来に目を輝かせていたな。

俺は無意識に会社に電話をかけていた。
「仕事、辞めさせてもらいます。今までお世話になりました。」
もう一度、七色の未来を信じてみようかな。

3/26/2025, 10:51:36 AM