nami

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9/15/2022, 10:56:53 AM

親の転勤の都合で遠くに引っ越すことになった。

君とは会えなくなってしまったけれど、毎日LINEで話しているおかげで疎遠になることはなかった。 

なのに、七月に入ったあたりから君からのLINEは途絶えてしまった。

こちらからメッセージを送っても既読すら付かない。

やがて夏休みが始まった。

直接会いに行けば君はどんな反応をするだろうか。

迷惑そうな態度を取られたらその時は、残念だけどそこで君との友情は諦めるつもりだった。

緊張しながら君の家を訪ねると、君のお母さんが快く迎えてくれた。

しかし、君に会いに来た旨を告げると彼女の顔は怪訝なものとなり、

「そんな子はうちにいない」

と、信じがたい言葉を発した。

これは一体どういうことだ──?

君からのLINEが途絶えたあの瞬間から、君という存在が、この世界から消失したとでもいうのか──?


テーマ【君からのLINE】

9/14/2022, 10:48:35 AM

私から全てを奪った憎き外道に報復する。

それが悲願であり、私の生きる意味だった。

何年もかけて綿密に立てた計画だ。

そこには一分の隙もなければ破綻もないはずだった。

なのに、なぜ露見した。

あの外道を亡き者にしてやるはずが、返り討ちに遭い私が亡き者にされようとは。

なんて笑えない冗談だ。

我が悲願は塵となって消える。

ならばせめてもの抵抗として、命が燃え尽きるその時まで、あの憎き外道を呪うとしよう──


テーマ【命が燃え尽きるまで】

9/13/2022, 11:57:02 AM

早く夜が明けてほしい。

怖くて指先の震えが止まらない。

夜が明けさえすれば“あれ”はしばらくの間鳴りをひそめるから。

夜が明けたら、仮眠を取ろう。

そのあとは“あれ”を封じる手掛かりを探す。

大丈夫、私は助かる。

そう思った時だ。

禍々しい気配を背後に感じた。

私の身体は縫い止められたように固まる。

視線だけをずらして時刻を確認する。

夜明け前──あと数分で夜が明けるのに……。

嫌だ、私はまだ死にたくない!


テーマ【夜明け前】

9/12/2022, 11:31:20 AM

それなりに恋はしてきたつもりだ。

けれど、ここまで誰かにのめり込むことはなかった。

この火焔にも似た感情は、本気の恋……とでもいうのだろうか。

だからこそ君を傷つける存在は許せない。

君がずっと笑顔でいられるように、今夜、僕は一人の人間をこの世から消す──


テーマ【本気の恋】

9/11/2022, 1:12:15 PM

目が覚めるとガリガリと壁に印を刻むのがすっかりルーティンとなってしまった。

そうでもしないと気が狂いそうになるからだ。

いや、自覚していないだけでとうに狂っているのかもしれない。

ここは地下室だろうか?

全く日光が差し込まない小部屋に私は監禁されている。

太陽の光がないせいで時間の感覚が喪失した私には、今が朝なのか昼なのか夜なのかもわからない。

四角い枠の中に印が七個並んだ。一応これで一週間としている。

ガリガリと今度は新しい枠を作るために壁を刻む。これで三つ目の枠になる。

また手製のカレンダーが増えてしまう。

新しいカレンダーが完成するのが先か──私が脱出できるのが先か──


テーマ【カレンダー】

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