ひらやま

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3/1/2024, 12:36:44 PM

欲望_33

依存とは

依存先が一つのみの状態を指しており
それを二つ三つと増やす事で抜け出せる。

そう聞いたことはないか?


私は前者を極めすぎたようで
 今に足をかけた。


-あの日
友人の 硝子で作られた杯のような
薄く 非常に脆いナニカを
割ってしまった。

周りの背景となりし友からの慰め。
それも相俟って
私が裏切ったからだ
と言わんばかりの
光が入る隙間もない瞳を見た。

それは
何を言っても修正が効くわけない
と静かに怒っているようだった。

それから私は いつもより
はるかに明るく振る舞い
古い杯を捨て 新しく作り直そうとした。

だが それもただ夢であった。


友人は泣いて 人に助けを求める。


私のことなど
突拍子もなく道路に飛び出て
轢かれて死ぬカエルだ
と言っているようだった。

友人よ。
私に依存をしなくたって
生きていけるのは良かったな。

友人よ。
一緒に生きるのなら
一緒に死ぬのも当然だろう。

友人よ。
何故 私の依存先ばかりを減らす。

友人よ。
私は この先 どうすれば良いのか。

友人よ。
私は貴方に欲望を晴らしてほしいと
願って 願って 願い続ける。

この足が怯み 堕落するまで。

2/12/2024, 4:41:48 PM

伝えたい_32

ベロニカは私が殺したんだ。
私が 殺したんだ。

3年前に交通事故で私の妻は死んだ。


ベロニカという名は
妻がよく庭で慈しんでいた花から
ニックネームとして採用した。

私は別に呼び捨てで良かったのだが
それでも妻は断固として
恥ずかしいと言い張っていた。

そんなところも
愛おしく思っていた頃
それが起こった。

気がつけば この辺で1番大きい病院で
あらゆる箇所にチューブが繋げられ
白いベッドに身を委ねている妻が
僕の目に入った。

また気がつけば
もう 今に至った。

時は待ってくれないらしい。

だが これまでの出来事が
可笑しいということに気がつき始めた。

警察は私を一度だけ取り調べ
動機がないだの
アリバイがあっただので
逮捕しようとしなかった。

何故だ?
なぜ伝わらない。
何がこの私の身に起きていると言うのだ。

いいから早く
私を捕まえてくれ。




(続編は気が向いたら書きます)

2/4/2024, 9:59:00 PM

1000年先も Kiss_31


『ベロニカ… ベロニカ!』

珍しく昼休憩に仮眠をとっていた教授は
何度もその言葉を放っていた。

額に脂汗をかき いかにも
悪夢を見ていました という空気が重い。

「教授 大丈夫ですか?
 だいぶ うなされていたようですけど…」

机に伏せて寝ていたせいで
彼の顔にはシャツの皺がついていた。

『あぁ…。
 私は何か寝言を言ってなかったかね?』

まだ寝起きで目を細めてはいたが
確実に瞳が泳いでいた。
それから推測するに
彼は動揺を隠せていない。

「いいえ。
 とても静かでしたよ。」

私は最善の選択をした。

私は彼の過去を
1000年先も知ることはないだろう。

だが 私はそれが悔しくて
憎くてしょうがない。

それならばと
記憶を呼び起こす口を封じるように
目にかかる髪をどかし
私は教授にキスをした。

2/3/2024, 2:14:20 AM

勿忘草_30

君が握る勿忘草を 僕は受け取れない。


やっぱり君は優しかった。

君は少し背が低いから
僕の腕にはすぐ包まれてしまう。

おもむろに君を起こし
抱き寄せて
胸の鼓動を感じる。

走ったのは久々だったから
喉が痛く乾いて
胸の鼓動は外にも聞こえるほど速かった。

ここは君と初めて会った公園だ。
勿論 覚えている。
小学生の頃から 君は誰よりも優しかった。

優しいからこそ
君は自分を閉じめて続けてしまった。

僕はそれに 気づけなかったんだ。
情けないよな。
弱いよな。
かっこ悪いよな。

君が朝陽でシルエットとなった時
僕の目頭は熱くなり 辺りが歪む。

今も冷たくなっていく君を抱きしめて
ただ泣くだけ。

僕はいつまでも弱かった。

2/1/2024, 3:07:42 PM

ブランコ_29

僕はあの人にブランコを譲った。

ただ それは
あの人が次を待っているように見えたから。

僕は君のことが 好きで好きでたまらない。
抱きしめて愛してると伝えたいくらい。

あぁ どうやら 君と僕は  
性格が似すぎていたのかもしれないね。

僕は 君の隣で
あの人が座って漕ぐのをのを見た。

優しさだけでは
君に繋ぐ赤い糸は結べない。

だから 強引な人は結び上手なんだ。

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