勿忘草_30
君が握る勿忘草を 僕は受け取れない。
やっぱり君は優しかった。
君は少し背が低いから
僕の腕にはすぐ包まれてしまう。
おもむろに君を起こし
抱き寄せて
胸の鼓動を感じる。
走ったのは久々だったから
喉が痛く乾いて
胸の鼓動は外にも聞こえるほど速かった。
ここは君と初めて会った公園だ。
勿論 覚えている。
小学生の頃から 君は誰よりも優しかった。
優しいからこそ
君は自分を閉じめて続けてしまった。
僕はそれに 気づけなかったんだ。
情けないよな。
弱いよな。
かっこ悪いよな。
君が朝陽でシルエットとなった時
僕の目頭は熱くなり 辺りが歪む。
今も冷たくなっていく君を抱きしめて
ただ泣くだけ。
僕はいつまでも弱かった。
2/3/2024, 2:14:20 AM