パーティ全滅勇者

Open App
3/25/2024, 11:53:46 AM



「君これ好きだったよね。」

あなたが優しく言うから

私を見つめて愛おしげに言うから

「うん」と頷いてしまった

「ありがとう」と言ってしまった

好きじゃないのに

むしろ嫌いなのに

好きな振りをした

あなたは、私を誰と勘違いしているの??

昔の彼女??片思いしていた人??

一体誰なの??

ねぇ教えてよ

あなたが近くにいるのに

見つめているのは私の筈なのに

私は1人でいるよりずっとずっと孤独だ

今日も私は知らない誰かの振りをする

3/24/2024, 6:02:01 PM



天気予報を見ていて1番困るワード。

それは、“ところにより雨が降るでしょう”

ところって何処!?

ねぇ!!ここは降るの!?

職場付近は!?

遊びに行く予定地は!?

結局干した洗濯物を入れ込んで、出かける際は折りたたみ傘を頼らなければならなくなりますよね。

出かける時、少しでも荷物が減るようにと天気予報を見たはずが。

最初よりも荷物が増えている現象が…

ただ、恋人と過ごす時間。晴れていたはずが急に雨になった時。

傘をコンビニで2本買うの勿体ないから、1本でいいよねって。

その1本を2人で使う時。

相合傘をした時。触れる肩と肩の温もりと。

決して私を濡らさないようにと、私の方に傘を傾けてくれる恋人の優しさに触れた時。

“ところにより雨”が素敵な言葉に聞こえてきますね。

✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼✼••┈┈••✼••┈┈•
はじめましての方ははじめまして。
そうでない方は、いつも閲覧して頂きありがとうございます。
パーティ全滅勇者でございます。

いつもは短編小説を書かせて頂いてますが、いい感じの物語が思い浮かばず…

なので、私の「ところにより雨」についての思いを書かせて頂きました。

これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。


3/23/2024, 1:53:28 PM

(特別な存在)

夕方の電車は嫌いだ。
窮屈で空気も淀んでるから。
そういう私も心が淀んでる1人だ。
私は電車に揺られながらバックに手を伸ばしスマホを取り出した。
通知はない。そっとスマホをバックにしまった。

1ヶ月前、仲のいい友人に男性を紹介してもらった。
友達は高校からの同級生で気立てが良くて皆から愛されてた。そんな彼女とも10年以上の付き合いだ。
友達はずっと彼氏がいない私を心配し、自分が動いてやらねばと思ったようだ。。私は恋人がいなくても死にやしないし、趣味は全て自己完結出来るため必要に感じなかった。
紹介してもらった男性は私と同じ歳だった。清潔感があり、川のせせらぎの様な優しい声で年齢よりずっと落ち着いていた。無口で表情も殆ど変わらず、だけど時折みせる笑顔が優しく印象的だった。私は人見知りだったが彼には億さず話すことができた。表情は柔らかく優しい瞳で私を見つめ、私の話に頷き傾聴してくれた。なんて居心地がいいのだろう。私は初めて他人の傍を居心地がよく感じた。
友達としていい付き合いができそうだ。私はそう思った。
時間は瞬く間に過ぎた。

連絡先を交換したが、食事に誘う勇気もなく時間だけが過ぎていった。
本当に私は友達になりたいだけなんだろうか?
でも一度会っただけで恋に落ちるなんて私には有り得ないことだ。きっと違う。そう言い聞かせた。

今日も何事もなく、仕事を終えて家に帰り着いた。
(あ、明日はゴミの日だ。準備しないと。)
家に帰りゆっくりする暇もなく、明日の準備と夕食の準備に取り掛かった。
代わり映えのない毎日だな。私の人生って面白味も何も無い。そう考えながら夕食を食べた。
毎日些細なことでも幸せだと感じるようにしていた。でも毎日毎日同じことの繰り返しで、ほとほと飽きてきた。
(そういえば明日はお母さん仕事休みだったはず。一緒に出かけれるか連絡してみよう。)
スマホを開いた瞬間、私は息を飲んだ。

(お久しぶりです。今度お食事でもどうですか?)

彼から連絡が来たのだ。私は胸を高鳴らせた。
彼に会える。どうしよう、ドキドキが止まらない。
これで初めて確信を持った。
彼が私にとって特別な存在になっていたことに。
私の抱いていた気持ちは恋心だったことに。
私は色褪せていた日常が、鮮やかな色に染まった気がした。
この部屋も外の景色も全てが違ってみえた。

私も彼にとっての特別な存在になれたらいいな。
そう願いながら彼へ連絡の返信をした。

3/22/2024, 12:00:31 PM

“恋” (テーマ:バカみたい)

昔むかし、何百年も昔のこと。

ある人里離れた丘に、それはそれは人間では到底辿り着けない程の高い場所に洞窟があった。そこには1匹のドラゴンが住んでいたそうだ。
ドラゴンはある日考えた。人間が住む世界はどんな所なのだろうか。人間はどのように生活し、何を食べて生きているのだろうかと。
ドラゴンは人間が自分を倒しに丘に来ていることは知っていた。だが人間はドラゴンの住処には辿り着けず断念していったのだ。ドラゴンは思った。何故自分は悪のように扱われているのだろう。人里には決して近づかず、ひっそりと暮らしてきたのに。ドラゴンは不思議でならなかった。

ある朝、ドラゴンは森へ狩りに出かけた。野ウサギや、野鳥を狩って食べて生活していたから。ドラゴンはいつものように森を散策していると、後ろから足音が近づいきた。後ろを振り向いた瞬間、そこには見たことのないほどの可憐な少女が立っていた。栗色のショートボブ、青空の色を映したような真っ青な瞳。今にも消え入りそうな儚い肌の少女だった。

ドラゴンは初めて間近で見た人間に興味が湧いた。
それと同時に、胸が熱くなり苦しくなった。初めての経験だった。少女はドラゴンを恐れる素振りもなく、「あなたがドラゴンね。凄いわ、なんて神秘的なの。」と目を輝かせた。ドラゴンは嬉しかった。初めて邪険にされず、好意的に見られたからだ。
ドラゴンは「私が怖くないのか。」と尋ねた。少女はまたもや、「あなた、喋れるのね!凄いわ!!」と目を一層に輝かせドラゴンを見つめた。
ドラゴンと少女が打ち解けるのにそう時間はかからなかった。
少女は自分の名は“ハンナ”だとドラゴンへ教えた。「あなたの名は?」とハンナはドラゴンへ問いかけると、「私には名など無い。」とこたえた。ハンナは「それなら私が付けてあげるわ!そうね、あなたの体は黒くて闇の様だからダークね!!」と。そして、「私は闇が好きよ。全てを包み隠してくれるから。」とドラゴンへ優しい眼差しを向けた。
ドラゴンは気恥ずかしくなった。それと同時に、心がじんわりと温かくなったのだ。
ハンナは毎日ドラゴンの住処の麓まで遊びに来た。人間の食料にドラゴンが興味を持っていたと聞き、パンや果物そしてお菓子を持って。あくる日も、そのまたあくる日もハンナはドラゴンに会いに行った。
ドラゴンはたまらなく嬉しかった。そして自分に優しくしてくれるハンナを愛していった。

それから季節は巡り、出会って1年が経とうとした日。毎日欠かさず会いに来ていたハンナが待てど暮らせど来なかったのだ。
ドラゴンは胸騒ぎをおぼえた。不安になり森の上を飛び立った。
すると森を出た人里に近い見通しの良い場所でハンナを見つけた。大人たちに囲まれ、1人恐怖に慄いていたのだ。ドラゴンは真っ先にハンナの元へ降り立った。ドラゴンを見つけたハンナが「ダメ!!ダメよ、ダーク!!降りてきてはいけないわ!!あなたの身が危ない!!」と叫んだ。その瞬間、四方八方からドラゴンに向けて弓が飛んできたのだ。ハンナが討伐できずにいるドラゴンと親しく会っていると知られたのだ。そしてハンナを餌に誘き寄せようという魂胆だった。
ドラゴンは痛みが全身に降り注ぎ、苦痛で叫んだ。
ハンナは「お願い!!やめて!ダークは心優しいの。人間に危害は加えないわ!」と泣き叫んだ。
ハンナの悲痛な叫びは届かず、とうとうドラゴンは倒れた。ハンナ以外の人間は喜び、歓喜の声が轟いた。
ハンナは泣きながらドラゴンへ近づいた。
「ごめんなさい。こうなったのは全部私のせいよ。」とドラゴンの顔に手を伸ばし必死に声をかけた。
ドラゴンはぼやけていく視界の中、必死にハンナを捉えながら囁いた。「そんなことない。私は君に恋と言うものをしてしまったのだ。バカみたいだろう。こんな醜く恐れられた私を邪険にせず優しくしてくれた君を愛さずにはいられなかったのだ。1度愛してしまえば、愛されてしまえば簡単に忘れられることはできないんだ。」と。
ハンナは今にも力尽きそうなドラゴンに口付けをしながら、「私もよ。愛してる。愛しているわ。」と囁いた。ドラゴンはハンナからの愛の囁きと共にこの世を去った。

3/21/2024, 2:23:24 PM

(二人ぼっち)

昨日までこの町には家族がいた。友達がいた。みんながいた。平和があった、平穏があった。
昨日までは。
今朝、「仕事に行ってくるよ。今日は早く帰れそうだから、晩御飯は一緒に食べよう。」と父と母に告げ家を出た。「久しぶりの家族団欒ね。」母が目尻の皺を深くさせ微笑んだ。父は何も言わず口元だけが綻んでいた。
僕は仕事に向け家を出た。今日の仕事内容は、隣り町にゴブリンが出て農作物を荒らすから助けて欲しいと言うものだった。隣町まではそう遠くない。僕は鍛冶屋の父が作った剣を持ち隣町まで向かった。
この剣とは長い付き合いだ。父は町では有名な鍛治職人だった。僕は鍛冶屋を継ぐよりも、父のつくった剣で戦い国を護る仕事をしたかった。
父にその思いを告げた時、そうかと一言だけ言い受け入れてくれた。その日から、僕は毎日剣術の練習に励んだ。騎士団の試験を受けると決めた時、父が僕の為に剣をつくってくれた。僕に直接渡すのが気恥ずかしかった様で母伝えでもらった。居間にいた父に「ありがとう」と呟くと「おう」と一言だけ返ってきた。
剣には毎晩磨きながら話しかけた。大切に大切に扱った。僕を思いつくってくれた父を思いながら。
結局僕は騎士団の採用試験には受からなかったが、違う道でも人々を護ることは出来ると諦めなかった。
そして今現在、町に蔓延る魔物退治をしている。1人で行く時もあれば、ギルド冒険者達と手を組むこともある。

今日はゴブリン退治だったので、1人で大丈夫だろうと思い向かった。難なく依頼を果たし終えた。
仕事を切りあげ、家へ帰ろうと踵を返した瞬間。僕の時が止まった。いや、時は動いてるが思考が止まったのだ。僕の目の前をファイアードレイクが空を飛び、炎を吹いて森や町を一瞬にして火の海にしたのだ。ファイアードレイクは炎のドラゴンで今は見ることのない幻の様な存在だった。
僕は無我夢中で家へと走った。あんなのと戦えるわけがない。人々を護りたいと仕事をしてきたが、到底太刀打ちできる相手ではない。家は、家族は大丈夫だろうか。頭はそれがいっぱいだった。
息を切らし、走りすぎて胃液が上がって気持ちが悪い。それでも走り続けた。家族の無事だけを祈って。

町に着いた瞬間、絶望が襲いかかった。この町も火の海になっていた。教会は炎で崩れ落ち、友達の家も畑も火達磨になっていた。
そして、僕の家もだ。
僕は「父さん!母さん!」と叫び続けた。喉から血が出ても叫び希望に縋った。
希望もこの町と一緒に崩れ落ちた。

家族が死んだ。今日の朝まで話してた、夕食を一緒に食べようと約束したのに。
友達が死んだ。僕の隣に住んでいた幼なじみのジョン。来週結婚式を挙げる予定だったのに。
全部、全部灰になってしまった。

僕は途方に暮れ、歩き続けた。町にはとてもじゃないが居れなかった。走馬灯の様に思い出が過ぎるから。
僕は父がくれた剣を抱きしめ「2人ぼっちになってしまったな」と呟いた。声に出した瞬間、現実味が出て涙が止まらなかった。もう戻ってこないと受け入れざるを得なかったから。

Next