今週は散々な1週間だった
3年付き合った彼氏が二股していたと知った日曜日
仕事しない癖に威張り腐った上司のご機嫌取りをした月曜日
残業しないで、自分の仕事を放って定時で帰る後輩の尻拭いをした火曜日
晴れ予報だったのに、退勤時間になって大雨になった水曜日
無理難題を押し付けてくる取引先に頭を抱えながら、終電間近まで資料を作り上げた木曜日
契約間近まで漕ぎ着けた案件が白紙になった金曜日
擦り切れ寸前の心を立て直すために
今日は街へ出よう
いつもは着ないタイトなワンピースに高いピンヒール
そうだ、口紅は紅く染めあげよう
化粧という鎧を纏って
わたしは私を守り抜こう
高貴な姫のように麗しく
騎士のように逞しく
優しさとは
人が憂うと書いて優しさと言う
憂いた時に気がつくのが優しさなのだと思う
また憂いたことのある人が与えられるのも優しさだと思う
人が憂い優しさに変化していく
長年勤めていた介護施設の退職日
いつも私の顔を見ると喜んで手を振ってくれたおばあちゃん
綺麗な瞳に目尻には優しさの溢れた皺が刻まれている
いつも私の手を取り、「あなたは素敵な子。この世の宝」と頬ずりをしてくれた
いつも私に愛と温もりをくれた
退職日、彼女に辞めると伝えた
彼女は寂しそうに振り絞った笑顔で「また会おうね。サヨナラなんて寂しすぎるから」と言ってくれた
「うん。もちろん。また会おう」私は涙をこらえてささやかな約束を彼女と交わした
2人とも分かっていた。「また」がないことを
でもその約束に縋りたいほど、私たちは思い合っていた
LINEの返信がだんだん遅くなってきたあなた
スマホの画面を見ては通知が来てなくて落ち込んだり
通知が来たと喜び勇んでLINEを開いたら、友達からのメッセージで落ち込んだり
だんだん、だんだん待ちくたびれて
だんだん、だんだん不安になって
だんだん、だんだん熱が冷めてきて
LINEの通知をオフにした
次にLINEの画面をあなただけ非表示にした
そして最後はあなたに別れを告げた
あなたは躊躇なく踏み越えた。私の心の境界線を。
「君は綺麗だ」思ってもいないこと言わないで。
「今すぐ会いたい」やめて。期待させないで。
「君以外他に何も要らない」そう言って上位互換が現れたら私を捨てるくせに。
「君だけを見ている」そんな訳ない。男なんてみんな移り気じゃない。
「僕だけを見てよ」どうせ私があなたを求めたら、すぐ突き放すでしょう?
所詮恋愛なんてひとつのゲームに過ぎないくせに。
私を手にするためのミッションでしかないくせに。
お遊びのくせに。
大嫌い。やめて。これ以上踏み込んでこないで。
私の心の境界線が。しっかりと強く濃く描いていた境界線が。あなたに踏み荒らされていく。
運動場に引かれたラインパウダーを消して遊ぶ子供のように。あなたは無邪気に私の境界線を消して踏み込んできた。踏み潰さないで。無下にしないで。
どうしてそんなに近づくの。
どうしてそんなに踏み込むの。
どうして、どうして、どうして…
そんなに惨めな私をみたい?
ねぇ、今の私凄く滑稽でしょう?
下手な猿芝居はやめてよ。
どうせ私のことを本気で求めてもないくせに。