美しい
いつも周りの人に合わせて、いつも辛いことに怯えて、いつも苦しい壁から逃げて。
そんなことばかりしてたら僕は僕じゃなくなった。
意味もなく泣いていて、気づけば夜が明けていた。僕は、初めてオールというものをした。朝になってしまったという虚しさに、窓を見た。
上がってきた美しい太陽が、朝の町と人を照らしていた。青い空と、絵のようにある白い雲。
忘れていた。こんなにも美しい空が、いつも僕の頭の上にあったなんて。そう。みんな忘れるんだ。みんな生きてここにいて、夜が明ければ太陽が昇ることを忘れてしまう。
僕は、僕だ。明日のために、今日を精一杯生きよう。そうすれば、きっと笑える。大丈夫だ。
この世界は
この世界は、不思議なものだ。
人という一種の動物が、死ぬ後のことを考えて心配したり、神様や魔法という目に見えないものを信じている。避けられない壁を怖がりながら、ぶち当たると、越えるために一生懸命息をする。
人は、沢山いるから難しいもの。
賛否だけではなく、新しい意見もそれぞれあって、人の意見は誰だって違う。
だって、人という種類は同じでも、別だから。戦争が起きるというのもそうであり、考え方も違い、何が正解でどう生きればいいのかわからない。
難しい。この世界、わからないことばっか。
だが日が昇る限り、私達は生きる。
休んだっていいし、変わらなくたっていい。本当の自分でいようともしなくていい。今を生きる自分が、本当の自分だから。
この世界は、残酷だけど、優しいや。
どうして
突然、いなくなってしまった人。
受け止めきれないその当たり前という恐ろしい衝撃を、僕は、どうしてと言うしかない。
どうしてあなたはいなくなったの?あんなに生き生きとして笑っていて、情けない僕を毎日元気づけてくれて、おはようと言うのが当たり前だったのに。
わからない。生き生きとした顔の目は閉じて、触ると肌はとても冷たい。生きて、いないのだ。
有名人でもないあなたは、テレビに大きく報道されることもなく、あなたがいなくても明日は来て、何ら変わりなく社会は世界は続いていく。
でも、僕は違う。あなたが消えたその衝撃は、僕の明日の太陽という生きる存在を、汚したんだ…
あなたは、太陽のように大切になんだよ…
ずっとこのまま
家族で囲む食卓は、笑いが起きる。たまに機嫌が1人でも悪かったら、とても静かになる時もある。
友達と並ぶ私は、いつも面白いことを言おうようにして、笑うようにしている。作り笑いをして、なりたいような自分を偽っている。だから、この人は私にしたら嘘でできた友達なのだ。
親友と並ぶ私は、本当の自分なのかよく疑ってしまう。それは、親友だからこそ、本当の自分でいたいから。
―幸せって、一体なんなんだろう?どうしたら、偽ることはなく幸せになれる?
たまに私は考えることがある。でもね。わかってるんだ。
幸せって、幸せと堂々と言えるほど、私は強くはない。皆、きっとそうなんだ。
ずっと、このままでいい。嫌なら、また私は変わったらいいし、変わらなくたっていい。
「心を、開いてくれたらいい。」
雨に濡れていた私に、赤い傘を差してくれてそう君は言ってくれた。
「そしたら、きっと幸せなんじゃねーの?」
ずっと、このままで。
寒さが身に染めて
冬だ。暖房がない限り、何をしても寒い。ぼーっとしてても、目を動かしても、歩いても寒い。
だけど、隣にぼーっとするあなたも同じように寒そうだった。コタツの上に置かれたみかんの皮は綺麗に剥かれて、その皮が包んだ身はあなたの口に運ばれる。僕は、じっとそれを見ていた。
愛されたかったんだ、僕。
誰かに、大切にされたかった。誰かに、温めてほしかった。僕は、守りたくて大切な人がほしかった。
「寒いね。コタツ、温かくなんないね」
「…じゃあ」
僕は、隣のあなたに抱きついた。ぎゅっと、離れてほしくないように、優しく包み込んだ。
「ええ急にどしたのよ、ふふ」
「愛、してくれてる?俺のこと」
「はぁ?愛してるから、私は笑ってるんでしょ」
理想を求めて飛び回るよりも。理想を求めて首を横に振るよりも、近くを見てみようよ。
温かくて大切な人は、すぐ近くにいるものだから。