川柳えむ

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12/3/2025, 10:25:26 PM

 冬の足音が聴こえた。
 振り返ると、しんと静まり返った街。そこに、突然冷たくなった空気だけが漂っている。
 北風が頬を撫でる。
 体が芯から冷えていく。風邪を引きそうだなと、鼻をすすった。


『冬の足音』

12/2/2025, 11:43:46 PM

 最近彼女が冷たい気がする。たぶん冬のせいだろう。
 今日はそんな彼女の誕生日。
 これを機にもっとアツアツの仲になるぞ!
 そう意気込んで、彼女の喜ぶ贈り物を考える。
 冷たいとは言っても、彼女は俺のことが大好きだってわかっている。だから、喜ぶものはこれしかない。

 彼女が帰ってきた。
 プレゼントボックスに見立てた部屋の、豪華に飾り付けた扉がゆっくり開かれる。
「ハッピーバースデー! プレゼントの中身は俺だよ!」
 自分自身もリボンで飾り立てた。最高のプレゼントだろう?
 そうして、彼女に抱き着こうとした。
「テメーの中身ぶちまけてやろうか」
 ――そう言われ、プレゼントの中身は捨てられた。


『贈り物の中身』

12/1/2025, 11:36:04 PM

 北の国の夜空は美しく澄んでいた。街の灯り一つもなく、空にある月や星達だけが頼りだ。
 この完全な美しさは、北の国の神様すら羨んだのかもしれない。そのまま氷の檻に閉じ込めてしまいたいと、そう願ったのだろうか。
 優しく煌めく星空とは裏腹に、ここはとても寒い。
 雪原の上に横たわり、星空を見上げる。

 この世界には魔物が蔓延っていた。
 その源が北の国にあると知り、仲間達と共にここへやって来た。
 先程まで激しい争いが行なわれていたとは思えないほど、今は静寂に包まれている。

「あいつらは、上手くやったかな……」

 仲間達の半分は、別の場所へと赴いていた。
 大元を断つ為、もっと根本的な出処へ。魔界と呼ばれるその場所へ。
 みんなで一緒に行ければそれが一番良かったが、今の最善はそれぞれが役目を全うすることだった。

 雪の上を駆ける風は一層寒さを強め、彼らの体を凍えさせる。
 赤く染まる雪原さえ、何事もなかったと、星空と共に静寂の底へ閉じ込めていく。
 その運命に抗うかのように、一筋の光が空から流れた。


『凍てつく星空』

11/30/2025, 10:36:11 PM

『スマホのアラームが鳴った。朝だ。』
『スマホを手に取った私は、画面に表示された「知らない番号」からの着信に、一瞬だけ心臓が跳ねた。』
『電話は深夜にかかってきている。誰からだろうか? 私はとりあえずその番号を検索にかけてみた。』
『――調べた番号は、私の知らない地方のものだった。』
『いつもだったら当然無視している。しかし、なぜたろう。この時は折り返してみようという気持ちになった。』
『電話はすぐに切れた。けれど、耳の奥に、微かな「助けて」の声が残っていたような気がした。』

「えぇ~……?」
 君とリレー小説をしている。交代で物語を書いていくあれだ。
 君から返ってきた小説の続きに私は頭を悩ませる。
 知らない人からのSOS?
 どう返したらいいだろうか? まぁここはとりあえず……。

『驚いて、再度電話をかけてみる。しかし、今度は繋がらない。電源が切られてしまっている。』

 すぐさま返ってきた。
 どれどれ……。

『画面を見つめながら、私はふと思った。――「あの声、聞き覚えがある」ような気がしてならなかった。』

 えぇー?
 知ってる声なの? どうしたもんかなぁ。
 悩みに悩んで、それでも君と物語を紡いでいく。
 放課後の教室。楽しそうに笑う君。
 どんな物語が完成するかは私達にもまだわからない――。


『君と紡ぐ物語』

11/30/2025, 7:55:49 AM

 ビジュイイじゃん?
 そうだね。ナウいね。チョベリグって感じ~。
 ん? 古いって……死語だって言いたいの?
 そんなバナナ。
 じゃあ、すきぴのビジュイイじゃん。とか? そんな感じ?
 え、すきぴすら今はもう死語だって!?
 つーか、死語って言葉自体が死語だって!?
 ギャフン。


『失われた響き』

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