『今何してる?』
『こっちはようやく少しずつ涼しくなってきたよ』
『そっちはどう?』
もう二度と既読がつかないことをわかっていて、それでも送ってしまう。
『会いたい』
その一言を入力しては、すぐ消す。
こんなこと送ったら怒られてしまいそうだし。
既読がつかなくても、この気持ちが届いていればいいな。
『君が幸せでありますように』
『既読がつかないメッセージ』
『秋』という題材で絵を描くよう課題を出された。
面倒だった俺は、赤やオレンジ、茶色を混ぜた絵の具でキャンバス一面を塗りたくった。
なせが表現が素晴らしいと褒められた。勝手に絵の解釈をされ、天才だと囃し立てられた。
芸術ってわかんねーと俺は思っていた。
『秋色』
「もしも世界が終わるなら」
「え?」
また変なこと言ってる。そう思った。
こいつとの付き合いは長い。子供の頃がずっとこんな感じである。
「もしも明日世界が終わるなら、どうする?」
再度質問が繰り返される。
公園にある高台から街を見下ろしていたら、突然そんなことを言い出したのだ。
そいつの隣に座り、答える。
「変わらないよ」
「変わらない?」
「そう。いつも通り、おまえの隣に座って話を聞いてるよ」
そう言うと、一瞬驚いたような顔をして、それから満足そうに微笑んだ。
「そうか。死ぬまでずっと一緒か」
「そうだよ。世界が終わるまでずっと」
街が夕日に飲み込まれていく。赤く染まった光景は、まるで世界の終わりのようだった。
『もしも世界が終わるなら』
靴紐が解けるように、僕らの手は離れていった。
追い掛けようと走り出したところを、解けた靴紐が足に絡まって、転んでしまった。
転んで擦り剥いてできた傷は、徐々に痛みを増していく。
いつかは消える痛みだとしても、この感情は、傷跡としてずっと残るのだろう。
『靴紐』
とにかく日々が忙しい。趣味に時間を費やしている場合じゃないのに。
だから、お題なんてやっていられない。
お題の物語(答え)は、まだ、闇の中。
『答えは、まだ』