川柳えむ

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「もしも世界が終わるなら」
「え?」
 また変なこと言ってる。そう思った。
 こいつとの付き合いは長い。子供の頃がずっとこんな感じである。
「もしも明日世界が終わるなら、どうする?」
 再度質問が繰り返される。
 公園にある高台から街を見下ろしていたら、突然そんなことを言い出したのだ。
 そいつの隣に座り、答える。
「変わらないよ」
「変わらない?」
「そう。いつも通り、おまえの隣に座って話を聞いてるよ」
 そう言うと、一瞬驚いたような顔をして、それから満足そうに微笑んだ。
「そうか。死ぬまでずっと一緒か」
「そうだよ。世界が終わるまでずっと」
 街が夕日に飲み込まれていく。赤く染まった光景は、まるで世界の終わりのようだった。


『もしも世界が終わるなら』

9/18/2025, 10:55:13 PM