川柳えむ

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7/18/2025, 10:40:59 PM

「この味がいいね」と平賀源内が言ったから七月十九日は土用の丑の日(ただし年によるし今年は二回ある)。


『special day』

7/18/2025, 6:33:41 AM

 そよそよと風が吹いて、木々が優しく揺れる。
 それに合わせ、木の影と、木の下にいた長いスカートを履いたお姉さんの影も揺らめいている。
 風情を感じる。爽やかな、良い景色だ。
 風が突然強くなった。
 木々はざわざわと激しい音を立て、大きく揺れた。お姉さんのスカートも大きく揺れた。
 輝く白が見えた。
 風と共に、風情とか感じてた気持ちはどこかへ飛んでいった。
 いや違うんです。事故です。これは事故です。
 でも……良い景色ですね、本当に。


『揺れる木陰』

7/16/2025, 10:59:21 AM

 薄ぼんやりとした、白んだ視界の中、誰かが手招きをしている。
 あー行かなきゃと思って、そちらへと歩き出す。
「やめときー」
 誰かの声が響いた。手招きが止まった。
 途端に、視界が黒くなる。
 誰かの舌打ちが聞こえて、はっと目が覚めた。

 やばい。死にかけてた。
 エアコンが壊れた部屋の中、暑さに気を失っていた。
 やっぱり扇風機と風鈴なんかじゃ、この暑さは誤魔化せない。
 慌てて冷蔵庫にあったスポーツドリンクを飲み、少し意識がはっきりしたところで、ふらつきながらも近くにある街の図書館まで逃げ出した。
 駄目だ。熱中症怖い。危険。命の危機。
 急いでエアコン修理の電話を掛ける。
 こうして、なんとか死を免れた。次からは気を付けようと心に誓った。


『真昼の夢』

7/16/2025, 4:42:38 AM

 昔からいつも一緒だったね。あなたとわたし。二人でいれば怖くなかった。
 趣味も合ったし、いろいろな空想をして遊んだ。あなたがパパ、私がママで、おままごともしたね。
 だんだんと時が経つにつれ、あなたはたくさんの別の人と一緒にいるようになった。
 おかしいよね? だって、私がいるのに。
 それは誰? 二人だけがいれば問題ないでしょ? なぜ他の人と一緒にいるの?
 でも、しょうがないか。この世界がそうできているなら。
 大丈夫。あなたを連れ去ろうとするなら、私が正しい世界を作ってあげる。
 そう。最初からそうしていれば良かったんだ。
 ここは二人だけの世界。
 あなたの為に作った世界。もう他の誰にも邪魔させない。


『二人だけの。』

7/14/2025, 11:36:58 PM

 家族と、そして近所の幼馴染の家族と一緒に、夏祭りへとやって来た。
 小さな女の子と、同い年の小さな男の子は、お祭りの雰囲気にわくわくしていた。
 たこ焼き、わたあめ、金魚すくい、宝釣り……たくさん遊んで、たくさん笑った。

 しばらくすると、大きな音と共に、空に花火が打ち上がった。
 目を輝かせて、二人の子供はそれを見上げている。
「もっと花火の近く行こう!」
 男の子が女の子の腕を引っ張り、花火が打ち上がった方へと駆け出した。
「あ、ちょっと、待ちなさい!」
 母の呼ぶ声なんて耳に入っていない。
 その声は、人混みの中へと紛れていってしまった。

 子供達はしばらく花火を見ていたが、両親の姿が見えないことに気付くと、途端に不安になってしまった。
「ねぇ……ママもパパもいないよぉ……」
「な、泣くなよ! すぐ見つかるって!」
 泣き出しそうになっている女の子を見て、男の子は慌て出した。
 どうしようどうしよう。
 ポケットの中を漁ると、先程宝釣りで当てた、クマのキーホルダーが出てきた。
「こ、これやる!」
 そのキーホルダーを突き出す。
 女の子は涙が零れそうになっていた目を丸くして、そのキーホルダーを受け取った。
「かわいい……」途端に笑顔へと変わる。「ありがとう!」
 男の子は照れたような顔をして言った。
「だから、その、一緒にいるから大丈夫。すぐ見つかるって」
「うん」

 しばらくして、迷子のアナウンスが入り、無事家族と合流することができた。もちろん、しっかりと叱られたが。
 それでも、女の子にとって、忘れられない夏の思い出となったのだった。

「それは、この間のお祭りで取っていたクマのぬいぐるみと同じクマか?」
 少女のスクールバッグについたキーホルダーを見て、所属している部活の部長が言った。
「はい」
 少し嬉しそうに笑う彼女を見て、部長はにやりと口の端を上げる。
「このクマがよっぽど好きなのか――それとも、君の幼馴染の関係の品かな?」
 見事に言い当てられ、思わず真っ赤になる。
 幼馴染も同じ部活だ。きっと部長は全て気付いている。
「秘密です!」

 この間、部活のみんなで夏祭りへと出向いた。
 そこで、自分でクマのぬいぐるみを取った。気付いたら、このクマのキャラクターが好きになっていたから。
 そして、それから――いろいろとあった夏祭りだった。

 こうしてまた、忘れられない夏が増えていく。


『夏』

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