川柳えむ

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6/25/2025, 10:36:40 PM

 自分が産まれたのは、自分達の繁栄の為。
 繁殖の為に、決められた相手と子を作る。それだけの為の命。
 愛なんて、知らなかった。聞いたこともなかった。
 でも、見つけてしまったんだ。
 みんなの為に働く君の姿を。美しい君を。
 決して交わることのない想いだ。それでも、ここに確かにある。
 小さな小さな体に生まれた愛だけど、この世界できっと一番大きな愛だ。


『小さな愛』

6/25/2025, 4:52:22 AM

 『空はこんなにも』かぁ……。
 うーん……? 思い浮かばないなぁ……。
 でも書くだけ書いてみよう。

 えー……。
 空はこんなにも青いのに――
 ……今日めっちゃ天気荒れてるんだよなぁ。

 気持ちが乗らない。
 純粋に頭にも浮かんでこない。
 この間もこんな感じのことを書いたなぁ。あの時は、実はもう一つちゃんとした物語もできていたんだけどね。

 全く青くない空を、窓から見上げる。
 それでも。こんな日も、たまにはいいかなぁ? たまには、ね。


『空はこんなにも』

6/23/2025, 10:39:02 PM

「子供の頃の夢……っすか?」
 話の流れで、突然そんなことを訊かれ、戸惑いながらも答えた。
「そうっすね……俺、こう見えて、小さい頃は太ってて。甘いものが好きで、めちゃめちゃ食べてたんすよ。それで、ケーキ屋になればもっとたくさん甘いものが食えるって思って」
「それで、ケーキ屋さんとか? 単純だな」
「ハイ。いやぁ、単純っすよね」
 はにかむように笑った。

「おい、着いたぞ」
 車が到着する。
 素早く降りて、トランクを開ける。
 そこには、人一人分ある大きな荷物。
「行くぞ」
 荷物を抱えて歩き出す。
 その時、荷物が動いたような気がしたが、気付かないふりをした。

 子供の頃の夢なんて、今はもう遠く。
 二度と叶うことはないだろうと、今ある現実を奥歯で噛み締めた。


『子供の頃の夢』

6/22/2025, 10:54:33 PM

 言えなかった。それが負担になるとわかっていたから。
 笑っていてほしかったし、笑っていたかった。
 いつかこんな日が来るってこと、本当は気付いていた。でも、見ないふりをしていた。
「お別れだ」と君は言った。
「また会えるよね?」と僕が言うと、君は頷いた。
 言いたかった。「行かないで」と。
 ――どこにも行かないで。ここにいて。
 でも、それがダメだと言うなら、
「じゃあ、今度は僕が迎えに行くから」
 君は笑って頷いた。
 そうして、遠ざかる君の姿に「待っててね」と力いっぱい手を振った。


『どこにも行かないで』

6/22/2025, 5:59:04 AM

 君の背中を追って、走り続ける。
 一生懸命に。置いていかれないように。

「ねぇ、一緒に行こうって」

 しかし、徐々に距離は空いていく。
 君は後ろを振り返らず、どんどん先へ行ってしまう。

「ねぇ、置いていかないで」

 わかっていた。君は先に行ってしまうって。
 それでも、少し期待していた。私の隣にいてくれるんじゃないかって。

「ねぇ、一緒にマラソンゴールしようって言ったじゃーん!」

 去年もそう言って置いていかれたからわかっていたけど!
 勝手に一人で先に行くなー! 嘘つきー!


『君の背中を追って』

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